トヨタ・モーター・ヨーロッパは2024年6月7日、水素燃料電池で走るハイラックスのプロジェクトが実証段階に突入したことを明らかにしました。排出ガスを一切出さない10台のプロトタイプ車を製造、欧州市場におけるゼロカーボン戦略の要として新たなマイルストーンを目指すことになります。
2024年パリ五輪で、デモンストレーション走行を実施
コアエレメントは、2015年から商業生産が始められ、そのものの信頼性、高い品質を証明し続けてきたMIRAIのシステムを採用しています。航続距離は純粋なBEV仕様では達成が難しい最大600kmを目標としています。
ラダーフレームシャシ内に取り付けられた水素タンクは各2.6kg。合計3個を搭載することから、全体の容量は7.8kgとなります。搭載される水素は軽量なので、ハイラックスに求められる高い積載重量や優れた牽引能力を損なうことはありません。
330個のセルで構成される燃料電池スタックは、フロントアクスルの上に取付けられています。燃料電池で発電した電気を蓄えるリチウムイオンハイブリッド電池は、水素タンクの上方の後部ロードデッキに配置。これにより、キャビンスペースの広さも確保されました。
ちなみに駆動は、リアアクスルに取り付けられた電気モーターが担当。最高出力134kW(182ps)、最大トルク300Nmを発揮します。走行中にテールパイプから排出されるのは、純水だけです。
この燃料電池ハイラックスのプロトタイプは、英国ダービーにあるトヨタ・モーター・マニュファクチャリングUK(TMUK)の工場で製造されています。10台のうち5台は、安全性、性能、機能性、耐久性を評価するために、厳格なフィールドテストを実施。リアルな走行環境の中でテストドライブデータを収集しています。
残りの5台は、一般ユーザーやメディアに向けたデモンストレーション用に活用されています。2024年7月から始まるパリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会にも登場する、とのこと。注目の的になることは、間違いなさそうです。