「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン CCだ。

ダウンサイジングによる物足りなさは感じない

画像: 電動調整式ダンパーも標準装備され、しなやかに路面を捉えてフラットなライド感を提供する。テールランプはLEDになった。

電動調整式ダンパーも標準装備され、しなやかに路面を捉えてフラットなライド感を提供する。テールランプはLEDになった。

日本仕様からV6や4WDの設定がなくなり、2Lから1.8LにダウンサイジングしたTSIエンジンに7速DSGを組み合わせたFFモデルのみとなった。フラッグシップとしては少し寂しい気もするところだが、パサートが現状1.4Lのみであることや、競合車との関係を考えると納得はできる。

2L時代に比べるとパワースペックも落ち込んでいるものの、実際にドライブすると、1500rpmという低回転から幅広い回転域で最大トルクを発し続ける特性により物足りなさは感じない。加えて、静粛性が抜群に高いことも印象的だった。

また、CCでは足まわりも軽量化をはじめ改良されている上、パサートにはない電動調整式ダンパーが標準装備される。おかげで乗り心地はきわめて快適に仕上がっており、しなやかに路面を捉え、姿勢変化も小さく、いたってフラットなライド感を提供してくれる。

25万円高の「テクノロジーパッケージ」を選ぶと、アクティブクルーズコントロール、プリクラッシュブレーキ、レーンチェンジおよびレーンキープのアシストシステムが追加されるが、一連の制御も非常に緻密で完成度が高い。車線を逸脱しそうになるとステアリングがグッと本来の位置に戻してくれる。

この価格帯に数ある選択肢の中で、これほど才色兼備なモデルは他に思い当たらない。フォルクスワーゲン CC、ちょっと気になる1台だ。

画像: ノーマルのパサートは1.4Lターボだが、CCは1.8Lターボを搭載。アイドリングストップ機能も備える。トランスミッションは7速DCT。

ノーマルのパサートは1.4Lターボだが、CCは1.8Lターボを搭載。アイドリングストップ機能も備える。トランスミッションは7速DCT。

フォルクスワーゲン CC 1.8TSI 主要諸元

●全長×全幅×全高:4815×1855×1425mm
●ホイールベース:2710mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:118kW(160ps)/4500-6200rpm
●最大トルク:250Nm(25.5㎏m)/1500ー4500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●JC08モード燃費:13.4km/L
●タイヤサイズ:235/40R18
●当時の車両価格(税込):499万円

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