この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第74回目は、ラリーシーンで存在感をみせた日産バイオレットHT 1600SSSの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

1.6L & SUツインの力強さと510譲りの足のしなやかさ

バイオレットはブルーバードUの下に位置するハイグレードなポピュラーカーとして、昭和48(1973)年1月に発売された。ブルーバードの抜けた穴を埋めるモデルとして開発され、型式名710を与えられている。

画像: スタイリングは典型的なクーペ。サファリラリーなどでの活躍で、硬派なイメージも加わったことでこのスタイルを好む層も多かった。

スタイリングは典型的なクーペ。サファリラリーなどでの活躍で、硬派なイメージも加わったことでこのスタイルを好む層も多かった。

これを見てもわかるように、バイオレットはブルー バード一族の末っ子モデルといえる。ボディタイプは、2ドア/4ドアのセダンとパーソナルムードを持つ2ドアHT(ハードトップ)で構成されていた。

1400~ 1600ccまでに31のバリエーションを用意した選択肢の広さも売りのひとつとなっていた。ストリームラインと呼ばれるダイナミックなプレスラインが特徴的で、スピード感のある近代的なスタイルはスポーティなクルマであることを強調するための演出であった。

セダンは個性的なセミファストバック、2ドアHTは日産がアイラインウインドウと称した切れ上がったリアサイドウインドウにファストバックを組み合わせ、デザインのポイントとした。

ちなみにセダン系は後方視界が悪いと不評だったため、昭和51(1976)年2月のマイナーチェンジを機に、オーソドックスなノッチバック・スタイルに改められている。エンジンは、ブルーバード510譲りのL型4気筒SOHCを積む。

L14型エンジン(85ps)も設定されたが、主力となったのは1595ccのL16型4気筒SOHCだ。

画像: バイオレットHT SSSに搭載されたL16型直4エンジンはSUツィンキャブによって効率的に混合気を送り込み105ps/13.8kgmを発生。スポーティな味付けだった。

バイオレットHT SSSに搭載されたL16型直4エンジンはSUツィンキャブによって効率的に混合気を送り込み105ps/13.8kgmを発生。スポーティな味付けだった。

スポーツグレードのSSS系はサスペンションも、前:ストラット/後:セミトレーリングアームと、510ブルーバードの形式を受け継いでいる。サファリを制した510ブルーバードの流れをくむ710バイオレットだけに、ラリーでも大いに活躍した。

日産バイオレットHT 1600SSS(KP710型)諸元

●全長×全幅×全高:4120×1580×1375mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:985kg
●エンジン型式・種類:L16型・直4SOHC
●排気量:1595cc
●最高出力:105ps/6200rpm
●最大トルク:13.8kgm/4200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:6.45S-13-4PR
●新車価格:79万円

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