この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第76回目は、三菱 ギャランGTOの弟分FTO のフラッグシップ1600 GSRの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

コンパクトで個性的なスタイリング。走りもランサーに匹敵

ギャランGTOの弟分として昭和46(1971)年10月に登場したのがギャランFTOだった。三菱のハイパフォーマンスカーであるギャランのエントリークーペとして開発され、ファストバックとノッチバックの両方の良さを兼ね備えた、独特のファストノッチ・スタイルを採用しているのが特徴だ。

画像: ギャランクーペFTO GSRの特別装備は5J専用リムと175/HR13ラジアルタイヤ、リミテッドスリップデフと強化サスペンションなどとなる。スポーツ走行を強く意識した。

ギャランクーペFTO GSRの特別装備は5J専用リムと175/HR13ラジアルタイヤ、リミテッドスリップデフと強化サスペンションなどとなる。スポーツ走行を強く意識した。

コンパクトなボディながらロングノーズを強調し、フロントウインドウの傾斜もかなり強い。また、ボディ断面を楕円形に絞り込んだタンブルフォームをいち早く採り入れたのも注目された。

当初はネプチューンと名付けられた4G41型4気筒OHVの1378ccエンジンのみで、GIとGllは 86ps/6000rpm、Glllは95ps/6300rpmの性能だった。だが、モアパワーの声に応えて、昭和 48 (1973)年2月にMCAシステム採用のサターン4気筒SOHCエンジンに換装している。

1.4Lは4G33型を積み、1439ccで92ps/6300rprnを発生。新加入の1.6Lモデルは4G32型を積み、SL-5が100ps/6300rpmを発生した。

そしてフラッグシップの1600GSRには、そのツインキャブ仕様が搭載されている。こちらは 110ps/6700rprn、14.2kgm/4800rprnの高性能を誇り、レスポンスもすこぶる軽快だ。

また、 FRP製オーバーフェンダーやハードに固められたサスペンションなど、スパルタンムードにあふれているのも魅力的。GTOの陰に隠れて人気はイマイチだったが、そのシャープな走りはランサーとともに光っていた。

画像: 機能的な5連メーター風だが、実は一番右はベンチレーションとなっている。スポーティな3本スポークステアリングと、安全性を考慮したハイバックシートも標準装備している。

機能的な5連メーター風だが、実は一番右はベンチレーションとなっている。スポーティな3本スポークステアリングと、安全性を考慮したハイバックシートも標準装備している。

昭和49 (1974)年10月、保安基準の改正に伴いFRP製オーバーフェンダー付車が廃止となって「素の」GSRとなり、翌年の昭和50 (1975)年3月に生産終了した。

VARIATION<ギャラン・クーペ FTO Glll>

画像: VARIATION<ギャラン・クーペ FTO Glll>

昭和46年11月に登場したギャランクーペFTO GIll。これが初代FTOとなる。エンジンは1400ccOHVの「ネプチューン」を搭載している。その後、発売されたホットバージョンがGIllで、2バレルツインキャブレターの装羞で9psアップの95ps/6300rpmのパワーを絞り出していた。ハイオクガソリン仕様だった。さらに昭和48年にGSRが登場した。

三菱 ギャランFTO 1600 GSR(A63型)諸元

●全長×全幅×全高:3765×1655×1320mm
●ホイールベース:2300mm
●車両重量:875kg
●エンジン型式・種類:4G32型・直4SOHC
●排気量:1597cc
●最高出力:110ps/6700rpm
●最大トルク:14.2kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/70HR13
●新車価格:75万5000円

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