2024年7月18日、日産のコンパクトスポーツモデル「ノート オーラ NISMO」がマイナーチェンジしました。待望の4WDが追加されたことが最大のニュースですが、いち早くその4WDモデルの試乗が実現しました。ここでは日産のテストコースで試乗したインプレッションをお届けします。(文:川内優作 MotorMagazine編集部/写真:井上雅行)

特別なチューニングが施された4WDを設定

ノート オーラ NISMO(以下、オーラNISMO)は2021年にデビューしてから、オーラの販売のなかで約2割を占める人気のスポーツモデルに成長しました。その結果、累計2万1000台以上を販売しておりNISMOラインナップのなかでもトップランナーとなっています。

画像: リアバンパーは新デザイン。4WDシステムへのレイアウト対応のほか、空力性能の最適化にも貢献している。専用のシャシーパーツ、車体補強に加え、特別なシャシー制御がより速く気持ちの良いダイナミック性能を実現している。

リアバンパーは新デザイン。4WDシステムへのレイアウト対応のほか、空力性能の最適化にも貢献している。専用のシャシーパーツ、車体補強に加え、特別なシャシー制御がより速く気持ちの良いダイナミック性能を実現している。

そして今回行われた改良では、ついに4WDが追加されました。従来型はFFのみを設定していましたが、それは「NISMOは軽さが重要」という開発姿勢を重視したためでした。けれど市場からは4WD追加のリクエストを強く要求されたといいます。なぜならベースとなるオーラの4WDモデル、すなわち「e-POWER 4WD」の走りには大きな定評があったからです。

このe-POWER 4WDにおいて走りの要となる前後のモーターは4つの駆動力を自在に制御することができます。そのため発進・減速・コーナリングそれぞれの場面において車両の姿勢を安定させ、極めてスムーズな走りを可能にしているのが特徴です。これは日産がアテーサE-TSを誕生させて以来、長きにわたって知見を育んできた4WD技術に、リーフから始まった電動技術が融合された、まさに日産なればこその技といえます。

画像: フロントモーターは従来同様100kW/300Nm。リアモーターはパワーで2割増し、トルクで5割増しまで性能が引き上げられている。

フロントモーターは従来同様100kW/300Nm。リアモーターはパワーで2割増し、トルクで5割増しまで性能が引き上げられている。

オーラNISMOにこの4WDが追加されるにあたり、特別なチューニングが施されています。その際たる例は、リアモーターの出力向上です。ベースとなるオーラ4WDに比べて駆動に関わるリアモーターのスペックが16ps/50Nm増強されています。その結果、最高出力は82ps、最大トルクは150Nmを実現しました。

フロントは2WD同様に最高出力136ps、最大トルク300Nmの強力な駆動用モーターを積んでいますから、そこにコンパクトカーを十分に動かすことができるほどのパワーをもつ強力なリアモーターが加わることは、走りに対する影響が非常に強いことを想像できます。

ただしNISMOが手がけるモデルとなりますから、パワーを増強したからといってリアモーターを載せたことによる重量増が走りに悪影響を及ぼしてしまうことは許されません。その打開策として、4WDモデルには専用の軽量アルミホイールが装着されています。

2WDのそれと比べて12%ものダイエットに成功したアルミホイールによって、肥えてしまった図体でも運動性能が損なわれないように仕立てられているのは、実にNISMOらしい工夫といえます。

画像: ホイールは、ENKEI MATT工法採用で軽量さがウリ。空力性能も最適化されているという。

ホイールは、ENKEI MATT工法採用で軽量さがウリ。空力性能も最適化されているという。

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