「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ Aクラスだ。
メルセデス・ベンツ Aクラス(2012年:3代目フルモデルチェンジ)
メルセデス・ベンツのエントリーモデル、Aクラスが3代目にフルモデルチェンジされた。既に日本デビューを果たした2代目Bクラスとプラットフォームは共通だが、先代までのユーティリティ重視のスタイルから、スポーツハッチにイメージを一新した。
メルセデス・ベンツはFFコンパクト ハッチバックであるA/Bクラスの戦略を大幅に刷新した。従来の背高路線はBクラスに受け継がせ、Aクラスは新たに低全高でスポーティなモデルとしてきた。まずはスロベニアで開催された国際試乗会のレポートをお届けしよう。
既に日本でも発売されているBクラスは、1.6Lの直噴ターボが期待したより低回転域のトルク感が薄かったり、ランフラットタイヤの硬さやバネ下の重さを感じるような面もあったが、今回試乗したA250は2.0Lの直噴ターボにスタンダードなタイヤということもあって、気になる要素はなかった。新プラットフォームの熟成も加わって、新世代コンパクト メルセデスの真の実力をみることができた。
エンジンは、VW系のそれのようにアクセルを踏んだ瞬間からガツンとトルクを感じることはない。だが、慣れてくるとスムーズさと程よいトルク感がちょうど良く思えるようになってくる。もしかしたら、VW系は少しスロットルを早開き気味でトルクを強調しているのに対して、メルセデスは根っからの高級ブランドとして、品の良さを大切にしているのかもしれない。古き佳き時代のメルセデスは、アクセルを踏んでからの反応をおっとりさせることで穏やかな高級感があったものだが、このAクラスもそれに通じているとも言えるだろう。