排ガス規制に揉まれながら生き残った2T-Gを搭載
ロングノーズ&ファストバックが印象的な一台
世界のベストセラーカーであるカローラ(KE / TE30系)&スプリンター(KE/ TE40系)がベールを脱いだのは、昭和49(1974)年4月。ボディタイプは多彩で、カローラは2ドアと4ドアのセダン、そしてスタイリッシュな2ドアHTを設定。
![画像: 175/70HR13という当時としては幅広のラジアルタイヤを装着するため、トレッドも広がっている。リアのコンビネーションランプもトレノの特徴だった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/08/06/351aa3b95809617637b504909033feef2148488b_xlarge.jpg)
175/70HR13という当時としては幅広のラジアルタイヤを装着するため、トレッドも広がっている。リアのコンビネーションランプもトレノの特徴だった。
一方、スプリンターは4ドアセダンと2ドアのクーペを設定している。この3代目では、カローラとスプリンターの差別化が一段と明確になり、まったく異なるボディが与えられていた。ホッテストバージョンのレビンとトレノもまったく異なるシルエットに生まれ変わった。
カローラの2ドアHTをベースにした軽快なフィーリングをセールスポイントにするレビンに対し、トレノはロングノーズ&ファストバックのスペシャリティカー的な雰囲気を狙ったクーペボディを採用。ヘッドランプを後退させ、ロングノーズを強調するなど、若さがほとばしるルックスとなっているのが特徴だ。
型式名はOHVを含め、カローラの1.6L搭載車がTE37、スプリンターの1.6LがTE47で、2T-Gを積むレビンはTE37MQRG、トレノはTE47MQRG (GTはMQZG)となる。インテリアも先代モデルより格段にグレードアップされた。
レビンは8連メーターを独立させたゴージャスなT型ダッシュボードを採用。一方、トレノはメーターパネルとセンターコンソールを一体化した逆L型コンソールというスポーティなコクピットとした。
とくにトレノGTはセンタークラスターをドライバー側に振るなど、デザイン的にも新しい試みを取り入れて注目されている。ステアリングはどちらもウレタン製4本スポーク、ベンチレーションもセンターベンチレーションとなり、快適性も向上させた。
![画像: 8連メーターでスポーツ性を強烈にアピール。ステアリングも独特な4本スポーツでスポーティだ。アクセルペダルは吊り下げ式でフットレストも装備。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/08/06/b00d3a43e4fbd65360a42b64582cc7d6d7098b79_xlarge.jpg)
8連メーターでスポーツ性を強烈にアピール。ステアリングも独特な4本スポーツでスポーティだ。アクセルペダルは吊り下げ式でフットレストも装備。
エンジンは先代モデルと同じ1588ccの2T-G型DOHCで、2種類のチューンがある。ハイオクガ ソリン 仕 様 は115ps/6400rpm、14.5kgm/ 5200rpmを発生。一方で、レギュラーガソリン仕様 は110ps / 6000rpm、14.0kgm // 4800rpmと、わずかにパワーダウンされている。
キャブレターは例によってソレックス40PHHキャブが2連装された。トランスミッションは5速MTのみで3速ATの設定はない。
サスペンションは、フロントがストラット/コイル、リアがリーフスプリングによるリジッドアクスルを踏襲した。タイヤは175/70HR13ラジアルを履く。初代の27レビン/トレノはハード一点張りのジャジャ馬だったが、2代目37レビン/47トレノではホイールベースが延びたこともあって、コントロール性が大きく向上している。
2T-G型エンジンは、レギュラーガソリン仕様でもレスポンスはシャープだ。2000rpm台から太いトルクを発生し、それが6000rpmオーバーまで持続する。FRならではの奥の深い走りも楽しめる1台となった。
![画像: ソレックスのツインキャブを装着して115psのパワーを発生する2T-G型1.6 L DOHCエンジン。圧 縮比を8.8に下げて、レギュラーガソリン仕様にした110ps版もあった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/08/06/14364eff630875622e16d7d7d8c97944e8d62cf4_xlarge.jpg)
ソレックスのツインキャブを装着して115psのパワーを発生する2T-G型1.6 L DOHCエンジン。圧 縮比を8.8に下げて、レギュラーガソリン仕様にした110ps版もあった。
このレビン/トレノGTは、排出ガス規制の荒波に揉まれて、昭和50(1975)年11月にいったん惜しまれつつも姿を消す。だが、それから14カ月後にレビン/トレノの名を冠したFRライトウエイトスポーツが復活する。昭和52(1977)年1月、トヨタはカローラ/スプリンターのマイナーチェンジを行ったが、この時に再びカタログに加えられたのである。
このマイナーチェンジを機に、レビンにもスプリンターをベースにしたクーペボディが与えられ、従来のHTは廃止された。これは昭和51年1月に登場したカローラLBのフロントマスクを、スプリンタークーペの ボディに組み合わせたものだ。
また、ベーシック仕様とGTの2モデル構成となり、カローラLBにもスポーツワゴンのカローラLB1600GT (スプリンターも同様)が設定された。
エンジンは51年規制をクリアするため燃料供給を電子制御燃料噴射のEFIにした2T-GEU型DOHCだ。排出ガス規制対策を施しながら、かつての2T-GR型(レギュラー仕様)並みの性能を実現している。最高出力110ps/6000rpm、最大トルク14.5kgm /4800rpmを発生し、0→400m加速も16.5秒を可能にした。これは当時の2L車を上回る実力だ。
![画像: かなり個性的なフロントビュー。ヘッドランプを後退させることでロングノーズを強調するという手段を取っている。かっこよさには賛否があったのも事実。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/08/06/f8b14beeac7c91557a06b8f67c7078ad908a0184_xlarge.jpg)
かなり個性的なフロントビュー。ヘッドランプを後退させることでロングノーズを強調するという手段を取っている。かっこよさには賛否があったのも事実。
排出ガス規制とオイルショックによる影響で、走る楽しみが乏しかった時期に当時の若者に夢を与えてくれたのが、EFIで復活したカローラ・レビン&スプリンター・トレノだったと言っていいだろう。
VARIATION<TE47→TE61→TE65>
![画像: VARIATION<TE47→TE61→TE65>](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/08/06/00cfa63b8bf259d7b42ec584571d4dcb710fcccb.jpg)
トレノは時代により3タイプある。初期型はTE47で2T-G型DOHCはソレックス(115ps)。昭和50 (1975)年排出ガス規制で生産中止となる。2年後の1月に復活した中期型はTE61型、エンジンはEFI化された2T-GEUに換装(110ps)。後期型は昭和53(1978)年4月に登場し、同年の排出ガス規制に対応する。出力は初期型2T-Gと同じく115psとなる。型式はTE65型(写真)。
EPISODE<レビンはHT、トレノはクーペ>
![画像: EPISODE<レビンはHT、トレノはクーペ>](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2024/08/06/9ba9ae7589734086b80acad2c2212dde5105b8d5_xlarge.jpg)
2代目レビン/トレノは当初、ボディスタイルが異なった。 TE37を名乗るレビンはカローラ2ドアHTがベース(写真)。一方、トレノはTE47型と呼称、スプリンターのクーペをベースとしていた。エンジンは2T-G型DOHCのみで、プレミアム仕様とレギュラー仕様があった。トレノには豪華装備のGTもラインナップされた。
トヨタ スプリンタークーペ1600トレノGT(TE47型)諸元
●全長×全幅×全高:4070×1600×1300mm
●ホイールベース:2370mm
●車両重量:935kg
●エンジン型式・種類:2T-G型・直4DOHC
●排気量:1588cc
●最高出力:115ps/6400rpm
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/70HR13
●新車価格:108万1000円