レースとキャンプ、ふたつのカルチャーがコラボレーション
それにしてもある意味、テクノロジーの最先端を行くモータースポーツと、自然への回帰こそが魅力のキャンプという対照的なカルチャーのコラボレーションには、どんな狙いがあるのでしょうか。「RECAMP」を展開する株式会社R.Projectの田中篤也さん(事業開発本部 キャンプ場開発 部長)にお話を伺いました。
──いわゆる「キャンプ場ではないところ」に開設した実績はありますか?
ほとんどが自然主義豊かな場所、都市公園など「自然を意識しやすいけれどアクセスしやすいエリア」です。今回のような、いわゆるテーマ性のある施設内に、非常に密な協業に取り組むのは初めてです。いろんな意味でチャレンジでしたね。
──「サーキットならでは」の魅力って、なにかありますか?
サーキットそのものは確かに、非常に人工的な空間です。昼間、レースが開催されているときは確かに轟音に包まれます。けれどそれが終わって夜になると、驚くほどの静寂に包まれるんです。自然の中で過ごす時間としては、従来のキャンプ場に負けないほどの「キャンプ感」が感じられるように思います。
昼間のレースの興奮と、夜の静謐な時間との交差・・・そのギャップ感が、キャンプ体験としては画期的ではないでしょうか。
──とくに、こだわった部分はどのようなところでしょう?
「RECAMP」はホテルではないので、食事などのフルサービスの提供はできませんが、逆に「自分たちでできること」をできるだけ快適に、しかも(特別な時間を)楽しんでもらえるようなホスピタリティにはこだわりたいと考えました。
そのひとつが、トレーラーハウスですね。たとえば、エアストリーム。実は新品を購入することもできたんです。最新の装備がついてますから、快適性だしきれいです。けれどあえて今回は、1970年製のヴィンテージモデルを探し、「フルリノベーション」を施して使っています。
そこに宿泊している人が「クルマに対する愛情、愛着」を感じてもらえると、嬉しいですね。隣には未来型の豪華なトレーラハウスが配置されていますが、新旧を対比させることによってモータースポーツにおける進化とか継承もビジュアル的に表現しています。そのあたりも、FSWという場所との親和性を意識しています。
──家族みんなで楽しむことができそうですね
ラジコンコースなども開設予定なので、お子さんが「サーキットに行きたい」っと言ってくれるきっかけになってくれると嬉しいですね。そこから奥さんも含めて、ファミリーでサーキットに来てもらえようになるのではないか、と思います。
もっと言うならユニークな娯楽性を通して、サーキットという場に対して、お子さんなどが興味を持ってくれるかもしれません。そこからクルマそのものはもちろん、自動車業界という産業そのものに興味を持ってもらえるかも、とか・・・期待しています。