アメリカを代表するスーパースポーツ「コルベット」にもついに電動化モデルが登場した。その名も「E-Ray(イー・レイ)」。フロントにモーター、リアにOHVエンジンを搭載するコルベット初の4WDモデルの実力を確かめた。(文:山崎元裕/写真:平野 陽/MotorMagazine2024年11月号より)

素晴らしいスタイリングとプレミアムなキャビンを展開

すでに日本に上陸しているZ06と同様に、ワイドボディを用いるE-Rayのスタイリングは、ヨーロッパから続々と誕生するスーパースポーツのそれと比較しても、まったく見劣りしない、実に素晴らしいライン構成で仕上げられている。

画像: クーペボディでもルーフトップは着脱可能。しかし手動式であり、リアトランクに収納する必要があるため1人で着脱を行うのはかなり厳しい。

クーペボディでもルーフトップは着脱可能。しかし手動式であり、リアトランクに収納する必要があるため1人で着脱を行うのはかなり厳しい。

フロントのエアインテークや縦長のヘッドライト、そしてリアフェンダー上に設けられた大型のサイドエアインテークなどで、まずオプティカルな魅力を印象づけるボディだが、フロントに20インチ、リアに21インチ径のE-Ray専用デザインのパールニッケル鍛造ホイールが採用されたことで、フットワークの力強さがより強調されているのも嬉しい。

日本に輸入されるE-Rayは右ハンドル仕様で、トリムレベルは最上級の「3LZ」を選択。フルレザーインテリアやホールド性と快適性の両方が高く感じられたGT2バケットシート、ビジブルカーボンステアリングホイールなどが、この3LZトリムレベルでプレミアムなキャビンを作り出す大きな要素となっている。

画像: インテリアのデザインは他のコルベットと共通する。ただしセンターコンソール側面に設けられた「チャージモード」のボタンは新たに設置されたものだ。

インテリアのデザインは他のコルベットと共通する。ただしセンターコンソール側面に設けられた「チャージモード」のボタンは新たに設置されたものだ。

キャビンはセンタートンネルからダッシュボードに向けて斜めにそそり立つデバイダーのようなパネルで左右に完全に分離され、ドライバーは常に運転に集中できる。デバイダー上には最近では珍しく多くのスイッチが並ぶが、走行モードの切り替えスイッチとともに、操作に慣れてしまえば走行中にも確実なタッチが可能な物理的なスイッチを多く残しているのは、個人的には好感が持てた部分だ。

E-Rayでは8つのドライブモード、「ツーリング」、「ウェザー」、「スポーツ」、「レーストラック」、「マイモード」、「Zモード」、「ステルス」、「シャトル」のそれぞれが設定されるが、カスタマーにとってまず興味深いのは、ゼロエミッションのEV走行が行われる「ステルス」と「シャトル」だろう。この時の駆動方式はFWDとなるから、これもまたコルベットとしては新鮮な体験にほかならない。

画像: エンジン始動前に、ドライブモードダイヤルをひねると現れる画面。これでHVモードの「ステルス」、EVモードの「シャトル」のいずれかを選択してからエンジン始動スイッチを押すとEV走行が可能となる。

エンジン始動前に、ドライブモードダイヤルをひねると現れる画面。これでHVモードの「ステルス」、EVモードの「シャトル」のいずれかを選択してからエンジン始動スイッチを押すとEV走行が可能となる。

だがこの両モードの選択には大きな制約がある。それは始動時にのみそれを選択できるというロジックの存在で、ステルスでは72 km/hの速度を超えると、自動的にミッドのV8エンジンが始動。シャトルは26 km/hを最高速度としてバッテリーの残量がなくなれば、そこで車両は停止するシステムとなっている。ちなみにステルスでは速度域内でも走行中に高負荷が必要とされた場合などにはエンジンが自動的に始動する。

今回はカスタマーがもっとも使用する機会が多いだろう「ツアー」と「スポーツ」を中心にE-Rayをドライブした。アメリカではすでに24年7月、コルベットの新たなハイエンドモデルとなる「ZR1」が発表されているが、現在の日本では、このE-RayがZ06を超えてもっともパワフルなコルベットとなる。当然のことながらまず驚かされたのは、その圧倒的な運動性能の高さだった。

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