バッテリーによる低重心化がもたらす感動的な乗り味
長年の改良と熟成を経て、現代のLT2型エンジンへと進化を遂げたシボレーのV8 OHVエンジン。こちらは8気筒から4気筒への気筒休止が行われるのだが、その切り替えは実際に試乗していても、ほとんどそれを感じることはできない。
アクセルペダルを踏み込むとまず感じるのは、そのスムーズな回転と、8速DCTとの組み合わせで実現するシームレスな加速だ。ちなみにE-Rayの0→96 km/h加速データは2.5秒。そのような局面ではエレクトリックモーターによる前輪の駆動が確かに大きな利点となっているのが体感的にもわかる。
アメリカ本国ではオプションだが日本仕様では標準装備の、マグネティックセレクティブライドコントロールの動きも素晴らしい。日本の高速道路ではツーリングモードでのフラットな乗り心地が第一の魅力として伝わってくるが、走行モードをスポーツに変更すると、そのライド感は明確にスポーティなものに変化し、コルベットが元来持つエアロダイナミクスの優秀さとともに、感動的なスタビリティを感じさせてくれる。センタートンネルにバッテリーを搭載したことによる低重心化も、その感覚に好影響を与えているはずだ。
シボレーが、アメリカ車の象徴ともいえるコルベットに、ハイブリッドモデルのE-Rayを追加設定した意義は非常に大きい。コルベットとはそれだけのコマーシャル効果を持つ特別なプロダクトであるからだ。果たしてシボレーは、これから先にさらなるコルベットの電動化計画はあるのだろうか。
このE-Rayをスタート地点として、PHEV、あるいはBEV。さまざまな進化の方向性がコルベットにはまだまだ残されている。その誕生から70年、さまざまな話題を提供してくれたシボレーコルベットは、これからも我々にとって期待の一台であり続ける。
【シボレーコルベット E-Ray 主要諸元】
●Engine
型式:LT2
種類:V8OHV
総排気量:6156cc
ボア×ストローク:103.2×92.0mm
圧縮比:11.5
最高出力:369kW(502ps)/6450rpm
最大トルク:637Nm(65.0kgm)/5150rpm
燃料・タンク容量:プレミアム・70L
EPAモード燃費:8.0km/L
CO2排出量:290g/km
●Motor
型式:HP1
種類:交流同期電動機
最高出力:119kW(162ps)/9000rpm
最大トルク:165Nm(16.8kgm)/0-4000rpm
●Dimension&Weight
全長×全幅×全高:4685×2025×1225mm
トレッド前/後:1675/1620mm
ホイールベース:2725mm
車両重量:1810kg
最小回転直径:11.1m
●Chassis
駆動方式:4WD
トランスミッション:8速DCT
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション形式
前:ダブルウイッシュボーン/後:ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前/後Vディスク/Vディスク
タイヤサイズ前:275/30R20、後:345/25R21
●Price
車両価格:23,500,000円