「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トムスがチューンした、トヨタ ヴィッツとアクアだ。

トムス ヴィッツRS(2012年:チューンドカー)

画像: 7J-17サイズのオリジナルホイールに組み合わされるのは、205/45R17サイズのBS ポテンザS001。

7J-17サイズのオリジナルホイールに組み合わされるのは、205/45R17サイズのBS ポテンザS001。

スーパーGTやフォーミュラニッポンという国内最高峰のレースを戦っているトムスは、その一方でトヨタ系チューナーとしてレクサスからヴィッツまで幅広くカバーし、それぞれの市場が持つニーズに上手に対応している。すなわち、本格走り系であれ、ドレスアップ路線であれ、なんでもOKなのだ。

ここで紹介するヴィッツが狙うところは本格的走り系かではなく、ドレスアップ系なのだ。たしかに前後左右に供えられたエアロパーツは、ノーマルに少しだけプラスして洗練させる、いつものトムス流とは違う。とくにフロントバンパーはハーフタイプではなくフルバンパータイプがおごられ、開口部はとにかく大きくインパクトも凄い。いかにもヤンチャなルックスはドレスアップ系と言われて頷ける仕上がりだ。

ただ、それで終わらず走りもきっちり仕立ててしまうところがトムス流だ。シャシまわりには補強ブレースや車高調をセットし、その気になればワインディングロードをキビキビ攻め込めることができるように仕立てられているから面白い。ヴィッツの価格帯を考え、車高調は廉価版に、補強も一部としたところはいつもと違うところだが、それもまた市場のニーズを考えた結果だろう。

走ってみると、たしかに乗り味は荒めながらもワインディングロードをかなりのペースで走らせても動きは悪くなく、キビキビしていて面白い。ホットハッチ テイストは満点だ。ただ、おそらく過渡域のコントロールができていないあたりが、トムスが〝ドレスアップ系〞と謳う理由なのだろう。とはいえ、世間一般で考えればこれでも十分にスポーティだ。楽しいクルマであることは間違いない。

画像: リクライニングスポーツシートを装着。乗降性を配慮した形状ながらスポーティな走行でもホールド性を高めている。

リクライニングスポーツシートを装着。乗降性を配慮した形状ながらスポーティな走行でもホールド性を高めている。

トヨタ ヴィッツRS(ベース車両) 主要諸元

●全長×全幅×全高:3930×1695×1500mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1020kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1496cc
●最高出力:80kW(109ps)/6000rpm
●最大トルク:138Nm(14.1㎏m)/4400rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・42L
●JC08モード燃費:17.2km/L
●タイヤサイズ:195/50R16
●当時の車両価格(税込):173万円

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