アジア初の乗用車生産工場であるトヨタ自動車・元町工場。そこには働く人や環境への「思いやり」が詰まっていた。なぜそれを垣間見ることができたのか、歴史的背景を紐解きながらお伝えする。

長い歴史をもつ元町工場が担う役割は「継承と発展」

今回訪れた元町工場は、愛知県豊田市に1959年から操業を開始、初代クラウンの生産を皮切りにその歴史が始まった工場である。いまもクラウンセダンの生産が行われていると知ると、その尊さを痛感するほかない。近所にいる富裕なおじさまが長年乗っているクラウンも、高速道路ですばしっこい獲物を狙うクラウンだって、ここ元町で作られ、彼らのもとへ届けられているのだ。

さらに元町工場は、培ってきた老舗の技を継承しながらそれをさらに高めるべく、新たに採り入れた生産技術を自社の他工場に反映させるという役割を担っている。それはセンチュリーや初代MIRAI、歴代GRモデルやレクサスLFAといった当時の技術が凝縮されたモデルたちを送り出したのがこの元町であることを知れば、なるほど納得できるものだ。

画像: 元町工場は愛知県豊田市元町1番地に位置するトヨタ国内工場で2番目に大きな工場。工場面積約160万㎡、従業員数約9500人、年間生産能力約16万3000台を誇る。

元町工場は愛知県豊田市元町1番地に位置するトヨタ国内工場で2番目に大きな工場。工場面積約160万㎡、従業員数約9500人、年間生産能力約16万3000台を誇る。

工場内システムに垣間見えた働く人への「思いやり」

元町工場は工場面積約160万㎡、従業員数約9500人、年間生産能力約16万3000台を誇る、まさに巨大自動車工場。「世界のトヨタ」においてもその規模は相当なもので、国内工場の中では愛知県田原市の田原工場に続き2番目の大きさを有している。

こうした規模感の工場という資質から、大量生産を求められるという宿命ゆえ、現在では9車種の混流生産を行っている。HEVはもちろんOEMを含めたBEV、FCEVもその流れに従う。したがって組み立てを行う「現場」では膨大な知識とスキル、そしてスピードが要求されることも事実だ。

そうしたなか見学して驚いたのは、その要求に応えてもらうべく追求された工場内システムである。聞けば、管理者による作業員へのヒヤリングを頻繁に行い、どうしたらより効率よく、そして働きやすくなるか、といった現場の生声を反映しているという。まさに現場主義であり、作業員への「思いやり」が垣間見えた。

画像: 現在9車種の混流生産を行っているが、そのなかにはbZ4Xの兄弟車であるスバル ソルテラの姿も見られた。

現在9車種の混流生産を行っているが、そのなかにはbZ4Xの兄弟車であるスバル ソルテラの姿も見られた。

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