リアサスペンションの出来は秀逸だった
ノートのエンジンにはスーパーチャージャー付きのHR12DDRと自然吸気のHR12DEが設定されるが、今回の試乗車は前者を搭載。このエンジンのトピックは、スーパーチャージャーの駆動にクラッチを採用して、エコモードスイッチがONだと低負荷ではスーパーチャージャーを作動させないことだ。
つまり、不必要な時の駆動ロスを減らして燃費を稼ぎ、必要なときにはしっかりとパワーを生み出す。このため、パワーフィールはかなり良く、特に80km/h前後の加速感は1.2Lエンジンとは思えないくらいだ。高速域ではスーパーチャージャーによって伸びのある加速を見せてくれる。
高速走行では100km/hくらいでステアリングのセンターがしっかりと座っていて、直進性が高い。パワーステアリングの重さをチューニングして直進性を演出しているのではなく、ボディとサスペンションのジオメトリーでしっかり安定性を出している。サスペンションは少し硬めで動きも小さい。それでも乗り心地に突き上げ感などの不快性は感じられず、路面からの振動はボディが最小限に留めている。
前述したように、燃料タンクが後席下にあることでリアにもそれなりの荷重が掛かりリアサスの動きを感じ取れる。直進時に路面の凸凹でサスペンションが伸び縮みしたときなど、リアサスの上下動の収まりが良く乗り心地に好影響を与えている。さらに、3気筒エンジンのガサツな音質はあるにせよ室内の静粛性では明らかにノイズレベルは低く、ボディ振動などNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュ)をかなり研究してきたことを感じさせる。
さて、最後に気になるのが実燃費だ。まず、市街地モード。いつも試している都内の20kmの周回コースで、ノートの平均燃費計はハイブリッド車並みの22.0km/Lを記録した。そして驚くのはアクアラインを含めた35kmの高速モードでは28.6km/Lという好燃費を記録したこと。リアコンビランプのサイド部にスリットとリップを付けるなどしてクラストップの0.29というCd値を達成した、エアロダイナミクスの進化も高速好燃費の要因だろう。
総合的に見てみるとノートの進化は著しく、このクラスのベンチマークであるフィットを凌駕したと言っても過言ではない。今後は他メーカーのライバルも追従してくるはず。しばらくは新たなコンパクトカー ウォーズに興味は尽きないだろう。
日産 ノート X DIG-X 主要諸元
●全長×全幅×全高:4100×1695×1525mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1090kg
●エンジン:直3 DOHC+スーパーチャージャー
●総排気量:1198cc
●最高出力:72kW(98ps)/5600rpm
●最大トルク:142Nm(14.5kgm)/4400rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・41L
●JC08モード燃費:24.0km/L
●タイヤサイズ:185/70R14
●当時の車両価格(税込):149万9400円