最新テクノロジーが生んだ電動折りたたみ式コンバーチブルルーフ&ロールバー
アストンマーティンのV8「ヴァンテージ」の誕生から20周年を迎える2025年に、オープントップの「ヴァンテージ ロードスター」が新たに仲間に加わった。
アストンマーティンのオープントップの歴史は長く、1950年にDB2用(クーペのサルーンとコンバーチブルのドロップヘッドクーペ)のヴァンテージ エンジン アップグレードパックが発売されて以来、75年にわたって受け継がれてきている。
さてその「ヴァンテージ ロードスター」だが、こだわりは、クーペの「ヴァンテージ」の持つ志や、驚異的な性能をそのままオープントップで継承することだったという。そのために第一に取り組んだのが軽量化とボディ剛性強化の両立だ。
具体的には、重量を最適化したシアパネルと従来の「Kフォールド」よりも高速かつ軽量でトノカバーの必要のない「Zフォールド」電動折りたたみ式コンバーチブルルーフの採用だ。このルーフは、50km/h以内であれば開閉操作が可能で、その時間はわずか6.8秒。現在販売されている自動開閉式ルーフ装備車の中では最速となる。
さらに、ドライバーが車の半径2m以内にいれば、リモコンキーで開閉することもできる。ルーフを上げた時の断熱性(8層の断熱材を使用)や静粛性も高いものがあるという。
ロールオーバー構造も、アルミニウム製ロールオーバー プロテクション システム(ROPS)を採用することで、可能な限りの強度と軽量化の両立が図られている。ROPSとは、鋳造と押出成形の双方から最適な要素を組み合わせるキャストルージョン(Castrusion)と呼ばれるプロセスを使用したもので、頑丈で軽量かつシンプルなパッケージングを実現するものだ。
車重と重量配分の変化を考慮してサスペンションシステムにも手が加えられている。リアダンパーのソフトウェアの再調整やリアマウントのギアボックスの取付位置の変更などだ。
最高出力665psをミシュランの特注タイヤが受け止める
「ヴァンテージ ロードスター」に搭載されるエンジンはクーペの「ヴァンテージ」同様、V8 4Lツインターボ。ターボチャージャーの大型化やカムシャフトプロファイルの見直し、圧縮比の最適化などで、従来に比べ最高出力が115psアップの665ps、最大トルクが115Nmアップの800Nmとなる。
そのパフォーマンスは、0ー97 km/h(60mph)加速が3.5秒で最高速度323 km/h(202mph)。制御式リミテッド スリップ デフを介して後輪のみで駆動する「ヴァンテージ ロードスター」の凄まじさに、ただ目を見張るばかりだ。V8サウンドも、きっと心を躍らせてくれるだろう。
もちろん、このハイパフォーマンスはエンジンのパワーだけで生まれるものではない。超剛性で軽量なルミニウム構造のボディパネルが、バランスの良いフロントとリアの重量配分49対51達成に大いに貢献している。
足回りには、レースから着想を得たフロント不等長ダブルウィッシュボーンや、マルチリンク リアアクスル、コイルスプリング、ビルシュタイン製DTXアダプティブダンパー(専用チューニング)などが採用される。非分離型ステアリングコラムとの合わせ技で、正確なハンドリングアシストしてくれそうだ。
制動系は、フロントに410mmのブレーキディスク(カーボン セラミックブレーキ)を装備。6ピストンのモノブロックキャリパーで固定されて、優れた耐久性が期待できる。タイヤは、ミシュランが「ヴァンテージ ロードスター」用に特別に作ったミシュラン パイロットスポーツS5タイヤを履く。