「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 ラティオだ。

日産 ラティオ(2012年:ニューモデル)

画像: 車名はティーダラティオから単にラティオとなり、全幅も1.7m以下として5ナンバー枠に収められた。

車名はティーダラティオから単にラティオとなり、全幅も1.7m以下として5ナンバー枠に収められた。

日産のコンパクトセダン、ラティオは世界150カ国以上で販売されるグローバル戦略車だ(編集部註:2012年)。エンジンはマーチと同じ3気筒の1.2Lだが軽量化と空力ボディで低燃費を実現。室内とトランクはクラス以上の広さ。まずは、その走りっぷりを味わってみたい。

団塊世代を中心に人気の高かったティーダラティオがモデルチェンジを機に、単に「ラティオ」となった。日産期待の世界戦略車でもあるが、日本市場を強く意識してボディサイズは5ナンバーの小型車枠に収められている。

エクステリアは水平基調のサイドビューに山なりのルーフを組み合わせ、ドアはプレスドアとした。ターゲットカスタマーが65歳の男性だから、無難にまとめられている。プラットフォームやパワーユニットなどはマーチから譲り受けているが、サイズアップしたため先代のティーダラティオとほとんど変わらない大きさだ。日本向けのラティオはマーチと同じようにタイ製だ。意地悪く観察してみたが、製品の製作精度は日本製と遜色なかった。

インパネはマーチをベースにしているが、メーターやセンタークラスターは専用デザイン。ふたつのメーターは同じ大きさになり、メッキの加飾などで見栄えよくまとめている。中央の空調スイッチなども操作しやすい。ただし、車両情報ディスプレイの切り替えスイッチはメーターの内側にある。燃費などの情報を知りたいとき不便だし、走行中の切り替え操作には危険を伴う。もっと安全に操作できる場所にスイッチを移してほしい。内装の質感も欧州勢と比べると物足りなく感じる。

装備品も不満だ。目の肥えた団塊世代も乗るクルマなのだから、明るいHIDまたはLEDヘッドランプ、コーナリングランプ、歩行者が気づきやすいドアミラーウインカー、日産自慢のアラウンドビューモニター、快適なシートヒーター、横滑り防止装置、SRSカーテンエアバッグなどを標準装備した上級グレードの設定を望みたい。安くても安全性と快適性が低ければ、上のクラスに乗っていた人たちは手を出さない。

画像: インパネのデザインはマーチやノートとも微妙に異なる。内装色はブラックのみ。カーナビはオプション。

インパネのデザインはマーチやノートとも微妙に異なる。内装色はブラックのみ。カーナビはオプション。

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