「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 ラティオだ。

軽量化が奏功して街中などでの走りに不満はないが・・・

画像: 低回転域を積極的に使うCVTのおかげで、平坦路や街中の走りでは非力な印象を与えない。

低回転域を積極的に使うCVTのおかげで、平坦路や街中の走りでは非力な印象を与えない。

キャビンとトランクルームは満足できる広さだ。後席は身長170cmのドライバーが座った後ろに、握りこぶし2個分の膝元空間が残っていた。ルーフがスロープしているため頭上空間は少ないが、大柄な人でなければ5cmほどの余裕が残される。

エンジンは1.2Lの直列3気筒DOHCだ。これに副変速機付きの無段変速機、エクストロニックCVTを組み合わせた。全車にアイドリングストップ機構を採用したラティオのJC08モード燃費は22.6km/Lとなかなかの好燃費だ。

3気筒エンジンは低回転での振動が上手に抑えられ、しかも低回転域を積極的に使うCVTだから平坦路や街中の走りでは非力な印象を与えない。軽量化も功を奏し、軽やかな加速を披露した。エンジン音も思いのほか静かだが、常用域でこもり音が出る領域がある。急勾配の登坂路も苦手で、瞬時に加速したいときパンチ力不足を感じた。

ハンドリングはマーチやノートと似ている。軽く操舵でき、扱いやすいが、ちょっと頼りない。山岳路や高速道路は得意そうに見えないが、意外にもタイヤを上手に使いこなし、粘り腰で安心感があった。その反面、街中の走りでは路面からの凹凸を拾いやすいし、乗り心地もやや硬質と感じられる。

クルマ好きには不満と思える部分も多く見られるかもしれないが、日常のシーンで扱いやすいし、経済性も高い。実用性の高い5ナンバーセダンとしては魅力的なクルマといえるだろう。

画像: エンジンは1.2Lの直3 DOHC。ノートに搭載されたスーパーチャージャー付きは採用されなかった。

エンジンは1.2Lの直3 DOHC。ノートに搭載されたスーパーチャージャー付きは採用されなかった。

日産 ラティオG 主要諸元

●全長×全幅×全高:4425×1695×1495mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1040kg
●エンジン:直3 DOHC
●総排気量:1198cc
●最高出力:58kW(79ps)/6000rpm
●最大トルク:106Nm(10.8kgm)/4400rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・41L
●JC08モード燃費:22.6km/L
●タイヤサイズ:175/70R14
●当時の車両価格(税込):169万8900円

This article is a sponsored article by
''.