2025年2月16日、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでカップシリーズの開幕戦であり、アメリカンレースの伝統であるデイトナ500が開催された。シボレーはデイトナ500を前に新しいコンセプトのプロトタイプマシンを発表。それがブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプだ。

NASCARでEVはあり得るのか?

急速に拡大するEV市場を見据えて、アメリカンモータースポーツの正統を継ぐNASCARもまた、新たな取り組みを始めている。それが、SUVをベースとしたフルバッテリーEV車両をモチーフとするマシンを使った新しいストックカー・カテゴリーだ。

画像: 従来のマシンとは異なる箇所が多いものの、そのポテンシャルは高い。

従来のマシンとは異なる箇所が多いものの、そのポテンシャルは高い。

画像: カロライナ・モータースポーツ・パークで行われたテスト走行。

カロライナ・モータースポーツ・パークで行われたテスト走行。

今回、シボレーが発表したブレイザーEV.R NASCAR プロトタイプもそのひとつ。レギュレーションに則って、78kWhの液冷式バッテリーを搭載し、瞬時に15,000rpmまで回転する3つの6相電気モーターから1,300馬力以上の出力を発揮するという。

サウスカロライナ州カーショウのカロライナ・モータースポーツ・パークで行われたテストではレースペースでの周回を実現。しかし、テストを担当した2024年NASCAR Xfinityシリーズチャンピオンのジャスティン・オールガイアーは、コーナリングやブレーキバランスも従来のものとは異なるため、慣れるまで時間がかかると語っている。

画像: 2024年NASCAR Xfinityシリーズチャンピオンのジャスティン・オールガイアーがテストを担当。

2024年NASCAR Xfinityシリーズチャンピオンのジャスティン・オールガイアーがテストを担当。

NASCARの魅力といえば豪快なV8サウンド、ガソリンエンジンの匂い。EV×SUVによるイベントは、非常に大胆な施策であり、シリーズの根幹を揺るがすようなプロジェクトのように思える。しかし、ゼネラルモーターズのグローバルモータースポーツ競技担当であるエリック・ウォーレン氏によると、NASCARからすぐにV8が消えることはないという。

おそらくはあと数年間はV8を引き続き使用するが、パワー、耐久性、効率性の組み合わせを改善する方法を常に模索している、とウォーレン氏は語る。シボレーが消費者向けEVラインナップを強化している中、レーストラックから学んだことをショールームにも反映したいという想いがあるという。

そんな中、シボレーは今年のデイトナ500のペースカーとして、最高出力623馬力を誇る市販EVモデル「ブレイザー EV SS」を投入。同モデルが、そしてEV車がペースカーとしてレースを先導するのは史上初となる。

画像: デイトナ500のペースカーラインナップ。

デイトナ500のペースカーラインナップ。

今回の取り組みを含め、フォードもEVのストックカーに投資している現状を考えると、近い将来NASCARはEVカーによる戦いに変わっているかもしれない。とくにショートオーバルでは、そうとうにアグレッシブなバトルを楽しませてくれそうだ。

今回の大胆な施策は今後どのようなNASCARの新たな姿を生み出すのか。それがストックカーを愛するファンを納得させられる形になるのだろうか。アメリカが誇る歴史と伝統のモータースポーツが今、変革期を迎えようとしている。

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