ドイツ語でオフローダーを意味する「ゲレンデヴァーゲン」の名で長年愛されるGクラス。ついに完全電気自動車(BEV)モデルとなるG580 with EQテクノロジーが登場し、この度日本上陸を果たした。今回は公道試乗で感じたその抜かりなき完成度をお伝えする。(文:川内優作<本誌>/写真:永元秀和 MotorMagazine 2025年2月号より)

AMG G63を超越するパフォーマンスを発揮

けれどG580の走行メカニズムを知ると、まったく別物だとわかる。その要となるのは4輪独立モーターの搭載である。ラダーフレームの前後アクスルに2つずつ組み込まれた計4つのモーターは、4輪が完全に独立した制御を行うことができるため、Gクラスの卓越したオフロード性能のさらなる向上に寄与する。無論、それだけでなくオンロードにおいても、その真価は発揮される。

画像: ボンネット内に備えられたサウンドバーからは、V8エンジンを模した擬似音が車内外に向けて発せられる。

ボンネット内に備えられたサウンドバーからは、V8エンジンを模した擬似音が車内外に向けて発せられる。

モーターはそれぞれ、最高出力108kW、最大トルク291Nmを発生する。つまりトータル出力はこれらを合算した数値となるわけだが、それは最高出力432kW(587ps)、最大トルク1164Nm!じつに奇天烈なパフォーマンスなのである。

GクラスのトップモデルメルセデスAMG G63を超越したパワーを発揮するG580であるが、実際にハンドルを握ると、その予想を覆すマナーの良さから呆気にとられた。獰猛な雰囲気どころか、ウルトラスムーズな所作は優雅なムードさえ漂っていた。

一方で、メルセデスのV8エンジンにインスパイアされた擬似音「G-ROAR」を楽しめるのも嬉しい。すなわちG580は、Gクラスが元来持つ独特な高揚感を損なうことなく、ラグジュアリー性を一気に引き上げたという印象だ。

画像: 渡河水深最大850mmを誇るG580。これは内燃機関モデルG450dの最大700mmを大きく凌ぐ性能である。

渡河水深最大850mmを誇るG580。これは内燃機関モデルG450dの最大700mmを大きく凌ぐ性能である。

加えて、3トンを超える車両重量を感じさせないひらひらと追従するボディと、しなやかな乗り心地には大いに驚かされた。走りの肝となる4輪独立モーターも、まったく違和感のない自然さだった。

これまで内燃機関モデルとBEVを大きく差別化してきたメルセデス・ベンツ。G580はその流れから逸した、ゲレンデファンをも納得させる資質を備えていた。

【G580 with EQテクノロジーエディション1主要諸元】

●Motor&Battery 型式(フロント左右・リア左右):E0033×4基 種類(フロント左右・リア左右):交流同期電動機 フロントモーター最高出力:108kW(147ps)×2基 フロントモーター最大トルク:291Nm(29.7kgm)×2基 リアモーター最高出力:108kW(147ps)×2基 リアモーター最大トルク:291(29.7kgm)×2基 バッテリー種類・総電力量:リチウムイオン・116.0kWh 交流電力量消費率:262Wh/km 一充電走行距離(WLTCモード):530km ●Performance システム最高出力:432kW(587ps)システム最大トルク:1164Nm(118.7kgm) ●Dimension&Weight 全長×全幅×全高:4730×1985×1990mm ホイールベース:2890mm トレッド前/後:1660/1660mm 最低地上高:250mm 車両重量:3120kg 最小回転半径:6.3m ラゲッジルーム容量:620〜1990L ●Chassis 駆動方式:4WD ステアリング形式:ラック&ピニオン サスペンション形式 前:4リンクリジッド・後:5リンクリジッドブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク タイヤサイズ:275/50R20 ●Price 車両価格:26,350,000円

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