2025年3月11日(独ミュンヘン・現地時間)、BMWは「ノイエクラッセ」(独語で新しいクラス)を旗印に次世代BEV(電気自動車)の開発に邁進しているが、このたびその先進性で注目を集めているSDV(ソフトウェアにより機能をアップデートできる車両)への道を切り拓く、画期的なアーキテクチャーの発表を行なった。

車両とソフトウェアの開発を切り離せる「SDV」

BMWは「ノイエクラッセ」(独語で新しいクラス)を旗印に次世代BEV(電気自動車)のプロジェクトを行っているが、このたびSDV(ソフトウェアにより機能をアップデートできる車両)の第一歩となるアーキテクチャーの発表が行われた。

画像: 4つの「スーパブレイン」と呼ばれる高性能コンピュータの配置図。

4つの「スーパブレイン」と呼ばれる高性能コンピュータの配置図。

それは、「スーパーブレイン」とも呼ばれる4つの高性能コンピューターで、インフォテインメント、自動運転、ドライビング ダイナミクス、車両アクセス、空調制御、快適性などの基本機能を制御するというものだ。

能力は、現在の車両で使われているコンピュータの20倍以上の処理能力があり、AI を活用した顧客管理を含む、ソフトウェアによる機能のアップデートができるよう設計されている。ということは、日本の経済産業省が旗を振りはじめた次世代車両SDV(ソフトウェアにより機能をアップデートできる車両)の実現へ、BMWが一歩先んじたということだ。

この意義をBMW AG の開発担当取締役フランク・ウェーバーは、「このアーキテクチャにより、車両とソフトウェアの開発を互いに切り離すことができる。その利点は、将来のすべての BMW モデルが無線アップグレードによってデジタル的に最新の状態に保たれ、次世代以降の車両世代からもアップデートを受け取ることができるようになることだ」と語る。

最高の開発環境を提供するツールチェーン「コードクラフト」

「スーパーブレイン」の配線(人間でいえば神経系)は、ゾーン配線アーキテクチャーと呼ばれる大幅に簡素化されたもので、現行と比較して配線が 600 メートル短縮、重量が 30% 削減され、フロントエンド、センター、リア、ルーフの4つのゾーンに配される。

画像: ゾーン配線アーキテクチャーのイメージ。

ゾーン配線アーキテクチャーのイメージ。

ゾーン配線アーキテクチャー実現のために大きな役割を担ったのが「スマート eフューズ」。これひとつで、従来のヒューズの最大150個分の働きをするため、さまざまな車両状態に合わせて無駄のない電力モードを設計できるのだ。そのため、エネルギー効率のアップは実に 20% とに及ぶという。

ソフトウェアも「スーパーブレイン」の能力を引き出す大きな役割を持つ。開発チームは 現在、1000 を超えるソフトウェア モジュールをはじめ、20GB を超えるソフトウェア、5 億行を超えるプログラムコードに取り組んでいるという。

このアグレッシブ数字に驚かされるが、その背景にはBMWが推し進める開発環境の構築がある。「コードクラフト」と呼ばれるカスタマイズされたツールチェーンがそれだ。

「コードクラフト」は、最大 7万5000 個の仮想 CPU 上のクラウド上で実行され、1万人を超えるソフトウェア開発者の作業を同時にサポートし、ピーク時には1日あたり最大 20万件のソフトウェア 製作を行なったこともあるという。これは、10年前と比較して 130 倍以上の生産性向上に相当するものだ。

画像: 「スーパーブレイン」のハード&ソフトウェア制御の要素ブロック。

「スーパーブレイン」のハード&ソフトウェア制御の要素ブロック。

BMWが日々開発にいそしむ「ノイエクラッセ」は、日々そのステージを上げていく。次の発表の時は、どんなテクノロジーが披露されるのだろう。胸をワクワクさせている人も多いだろう。

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