スーパーチャージャーで全域に渡りパワーアップ!

走行抵抗にも気を遣い足の部分の形状を改めたカーボン製のリアウイングは角度を変化させることもできる。
走り出すと、S/C自体が生み出すシューンという音が伝わってくる。けっしてうるさいわけではないが、この音が熱い走りを予感させるには十分なスパイスとなっているように感じる。
高速道路に乗り、前が空いたところで試しにスロットルを解放してみる。すると、ブーストメーターがジワリと動き始め、過給を開始したことを伝えてくる。S/Cというと、下からモリモリとトルクを発生するように思う人もいるかもしれないが、この遠心式S/Cはそんなことはない。あくまでエンジン回転に比例してジワジワと過給される。ピークの過給はレブリミットとなる7000rpmで、0.5kg/平方cm。よって、伸び感も楽しめる仕上がりだ。ノーマルより全域でパワーアップした感覚が得られている。
最も感心したのは、ECONEモードを選択した時に過給を正圧域に入れないプログラムがなされていたことだ。スポーツもエコも大切にしようというCR-Zならではの世界観を壊すことなく仕上げたことはさすが。単なるチューニングカーではなかなか達成できないことを成し遂げる、いかにもコンプリートカーらしい部分だ。
それはフットワーク系にもあてはまり、むやみにスポーツ性を高めるわけでなく、しなやかさも両立している。乗り心地も、さほど犠牲にしていない。ワインディングで走らせると、そんな仕上げ方にも関わらず自在にコーナーをクリア。エアロによる安定感もきちんと伝わってくる。さすがにハイパワーになったことでパワーアンダーステアが出るシーンがあるが、コントロール性も悪くない。欲を言えばLSDを装着して欲しかったところだが。
グレードアップされたブレーキも、このハイパワーにマッチした効き味を実現。速さがノーマルとは別次元に移行し、ジャジャ馬になったCR-Zをしっかりと調教できる。これならば、より排気量の大きなスポーツカーにも比肩しうるパフォーマンスを発揮できるだろう。およそ450万円という価格は高嶺の花だが、この仕上がりなら十分に納得できる。

ハイブリッドシステムはノーマルと同じだが、ロトレックス製の遠心式S/Cなどを装着し、エンジンは156psと185Nmにパワーアップ。
ホンダ CR-Z 無限 RZ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4100×1740×1380mm
●ホイールベース:2435mm
●車両重量:1188kg
●エンジン:直4 SOHC+S/C+モーター
●総排気量:1496cc
●エンジン最高出力:115kW(156ps)/6600rpm
●エンジン最大トルク:185Nm(18.9kgm)/5200rpm
●モーター最高出力:15kW(20ps)/2000rpm
●モーター最大トルク:78Nm(8.0kgm)/1000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・40L
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤサイズ:205/40R17
●当時の車両価格(税込):449万4000円