充電にかかる時間や走行可能距離などBEVのネガティブポイントを気にする人がいる一方で、モーター駆動による静かでスムーズで、力強い加速感などを一度経験すると「ガソリン車に戻れない」と話すユーザーもいる。BEVに一長一短あることはいうまでもないが、ボルボのEX30の試乗で体感した安定感は間違いなく長所だろう。今回、積雪した新潟県妙高市での試乗をレポートする。

駆動輪に荷重がしっかり乗っている

標高が高くなるにつれて深まる積雪。妙高高原インターチェンジを降りてさらに妙高山方面へハンドルを向けるとあたり一面雪景色だ。ここまでの経路にシャーベット路をはじめとする積雪路では安定した走行をしてくれたEX30だが、ここからは勾配の強い登り坂も含む、非降雪地域のドライバーにとって緊張するルートが続く。

スタッドレスタイヤを装着しているのだから、「急」ではないアクセルペダル操作をしていればタイヤが滑り出すことはない。駐車するときのようにハンドルをロックするまで切ったり、登り坂でアクセルペダルを踏み足したりと、滑りやすそうな条件を試してみても不安に感じることはない。

画像: EX30の車両重量は1790kgで、BEVのBセグメントSUVの中では軽量な部類。それでもバッテリー容量は69.0kWhで、走行可能距離560kmを実現している。

EX30の車両重量は1790kgで、BEVのBセグメントSUVの中では軽量な部類。それでもバッテリー容量は69.0kWhで、走行可能距離560kmを実現している。

こうした安定感こそ、緻密な駆動制御が行われているモーター駆動によるものなのだが、唯一ドキッとしたのが登り坂の途中にある一時停止の道路標識だった。オートブレーキホールドが作動している停車状態からゆっくりとアクセルペダルを踏み込むと、「キュゥ」という音とともにタイヤが空転する感覚が伝わってくるが、それも一瞬ですぐに駆動力を回復してジワジワと前進していく。この状態でペダルを踏み込んでも速度に変化はないため、適切に駆動制御されていることがよくわかる。

メーター(センターディスプレイの上段)を見ていればTCSが作動していることを確認できたのかもしれないが、この状況でドライバーにそんな余裕はなく、緊張しながらも無事に難所をクリアする。駆動力制御の面で優れていることはもちろん理由であるが、もうひとつ、前後重量配分も要因のひとつだ。車載の車検証を確認すると車両重量1790kgに対して、前軸840kg:後軸950kg(47:53)とリアヘビーの配分となっているのだ。

画像: 機械式ボタンを配置しないシンプルなデザイン。それでも小物入れやドリンクホルダーはしっかり用意されている。

機械式ボタンを配置しないシンプルなデザイン。それでも小物入れやドリンクホルダーはしっかり用意されている。

エンジンを搭載せず、フロア下に重量のあるリチウムイオンバッテリーを搭載しているBEVだからこその重量配分で、リアの駆動輪に荷重を乗せてグリップしやすくなっていると考えられる。EX30やEX40をはじめとする二輪駆動のボルボのBEVは、リアにモーターを搭載したRWDとする傾向にあるが、これは駆動力をより伝えやすい方式を採用しているといえる。

ちなみにここまでは「加速」にまつわる体験だが、実は「減速」の側でも安定走行をサポートする制御が行われているという。モーターによる回生ブレーキで減速しているときも、ABSと同様にタイヤがロックしないよう制動力を調整しているというのだ。

画像: センターディスプレイの設定画面で、ワンペダルドライブをオンにして走行。

センターディスプレイの設定画面で、ワンペダルドライブをオンにして走行。

今回の試乗会では、減速から停車までをアクセルペダル操作だけで行うこともできるワンペダルドライブをオンにして走行していたが、思い返してみても「減速側の制御」を感じた場面はなかったのだ。作動していることが音や振動で伝わってくるABSとは違う所作だ。

加速でも減速でも、ドライバーが気づかないうちに安全な走行をサポートしている・・・これもプレミアムブランド、ボルボらしさなのかもしれない。

ボルボ EX30 ウルトラ シングルモーター エクステンデッドレンジ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4235×1835×1550mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1790kg
●モーター:永久磁石同期電動機
●最高出力:200kW(272ps)/6500-8000rpm
●最大トルク:343Nm/5345rpm
●バッテリー総電力量:69.0kWh
●WLTCモード航続距離:560km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:245/45R19
●車両価格(税込):559万円

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