充電にかかる時間や走行可能距離などBEVのネガティブポイントを気にする人がいる一方で、モーター駆動による静かでスムーズで、力強い加速感などを一度経験すると「ガソリン車に戻れない」と話すユーザーもいる。BEVに一長一短あることはいうまでもないが、ボルボのEX30の試乗で体感した安定感は間違いなく長所だろう。今回、積雪した新潟県妙高市での試乗をレポートする。

後輪駆動のBEV、EX30は雪道に強いのか

「BEVは雪道に強い」。そんな言葉を聞いたことはないだろうか。これは燃料を噴射して圧縮して爆発して駆動力を発生させるという、複数の工程を必要とするエンジン搭載車(ICE車)と比較した話。

電気が流れるとすぐに駆動力を得られるモーターを搭載したBEV(およびモーター駆動の電動車)は、アクセルペダル操作やトラクションコントロール(TCS)などにより駆動力を制御したとき、パワーがタイヤに反映されるまでのレスポンスがより早い。

つまり、雪道や凍結路面などでタイヤがグリップを失って空転するようなシーンでも、TCSによる制御が行われるとモーターによる駆動力(や回生ブレーキによる制動力)はすぐにタイヤに伝わり、空転を抑えた、より安定した走行ができるようになるというのだ。

画像: 現在、日本で販売されているEX30はRWDのウルトラ シングルモーター エクステンデッドレンジのみ。今後4WDやクロスカントリーなど、ラインナップ拡大が期待される。

現在、日本で販売されているEX30はRWDのウルトラ シングルモーター エクステンデッドレンジのみ。今後4WDやクロスカントリーなど、ラインナップ拡大が期待される。

とはいえ、こうしたパワートレーンの特性について話では聞いていたのの、非降雪地域に住んでいるとなかなか体感できるものではない。今回、雪が降り積もる新潟県妙高市を舞台に開催された、ボルボ EX30の試乗会に参加してBEVらしい特性を体感することができた。

この走行安定性のほかにもうひとつ、確認したかったことは後輪駆動車の雪道走行安定性だ。現在(2025年3月時点)日本市場で販売されているEX30の駆動方式はRWDのみ。山坂道の多い、積雪した妙高高原地域を安定して走れるのだろうかと正直にいうと一抹の不安があったのは確か。しかし、実はそんな不安もエンジンを搭載しないBEVであるがゆえに杞憂であることも、のちにわかることとなった。

妙高山に向かって坂を登っていくルート

今回の試乗車EX30は日本で2023年11月に発売された、ボルボラインナップでもっともコンパクトなSUV。全長4235×全幅1835×全高1550mmというボディサイズは、すでに販売を終了しているボルボのコンパクトハッチバック「V40」やレクサス LBXなどと近い数値で取り回しやすさが光る。以前に東京都内の狭い道を走ったとき感じた視界の広さや全長の短さは、運転のしやすさに直結するポイントだろう。

また、エンジンを搭載しないBEV専用のプラットフォーム「SEA」を採用するEX30。いわゆるBセグメントSUVたちと比較して長いホイールベース(2650mm)を実現していることもあって、後席の足元空間は外観から想像した以上に広いことも特長のひとつだ。前後席に180cmの男性が座ってもまだヒザまわりに余裕があるから、このクラスとしては異例の広さではないだろうか。

画像: ボルボ EX30のボディサイズは機械式駐車場に対応するサイズ感。タイヤは標準の245/45R19サイズを装着。

ボルボ EX30のボディサイズは機械式駐車場に対応するサイズ感。タイヤは標準の245/45R19サイズを装着。

そんなEX30で行く試乗ルートは、上越妙高駅近くから上信越自動車道に乗り妙高高原エリアに向かってひたすら坂を登っていくもので、高速道路から市街地まで往復約70km。

さっそく妙高山の方角へ向けて走り出すが、標高の低い地域の道に雪はなくドライ&ウエット路面での走行。今回の試乗趣旨とは違うものの、日本発売当時に試乗した車両と比較して興味深かったのは、乗り心地がマイルドに感じられたことだ。

もちろんスタッドレスタイヤ(ミシュラン X-ICE SNOW)を装着していたこともひとつあるが、今回の試乗車は19インチのアルミホイールを装着しており、前回(20インチ/オプション)よりタイヤのエアボリュームが大きいことが理由だろう。デザイン性の好みもあるが、ボルボらしいゆったりした乗り心地は捨てがたい。どちらのホイールを選ぶか、悩ましい選択だ。

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