トヨタ オーリス(2012年:2代目フルモデルチェンジ)

ルーフを低く収めて全高を1460mmとしたため、この手のクルマとしてはかなり低く感じられる。ボリューム感あふれるフェンダーラインも魅力だ。
「常識に尻を向けろ」というキャッチコピーを引っさげて登場した新生オーリス。このクルマは開発者曰く「日本の自動車市場に一石を投じたいクルマ」だそう。この手のクルマとしては異例とも思える斬新なデザインや低く収めたプロポーションは、見た目や走りといったクルマ本来の性能を追求した証だ。
そこに期待を寄せたのは「RS」という今どき(編集部註:2012年)珍しいスポーツグレードを設定したから。トランスミッションは6速MTのみ、それに合わせたエンジンマネージメントの改良、さらには足まわりも引き締めていることなど、トヨタのやる気を感じさせる。実車に対面すると、この手のクルマとしてはボリューム感もある一方で低さを強調していることがうかがえる。いわゆる「ホットハッチ」だが、サイドビューはクーペ的なプロポーションにも見える。
乗り込むと、運転席の雰囲気はその低重心感覚をより強調するもので、走りを期待させてくれる。やはり先代よりも40mmも下げられたという着座位置は伊達じゃない。垂直に構えるダッシュパネルとステアリングホイールとの位置関係も、なかなかスポーツしている。ホットハッチというと、ステアリングを上から抱え込むようなスタイルを強いられがちだが、このクルマにはそんなテイストが微塵もない。
それゆえ、走行感覚は絶妙だ。ドッシリと地を這う安定感を実現しながら、フラットに走って行く。「ちょっと質のいいクルマに乗っているな」と感じさせてくれる。標準車よりもスプリングレートを約10%、減衰力を約15%高めたというリバウンドスプリング付きのダンパー、そして何より乗員やルーフまわりを低く収めたことが効いているのだろう。とても素直に走り、ライントレース性にも優れている。

垂直に構えられたインパネまわりは、着座位置を40mmも下げたドライバーとの位置関係も良好。適度なタイト感もいい。