「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ オーリスだ。

6速MTを使い切って走れば楽しさ満点!

画像: 6速MTをレブリミットまで回し切る楽しさがある一方、どんな領域でも応答に優れているのも高ポイントだ。

6速MTをレブリミットまで回し切る楽しさがある一方、どんな領域でも応答に優れているのも高ポイントだ。

そう印象づけてくれたのは、切り始めから応答するまでクセがなく動いてくれるステアフィールにもある。トルク変動が少ないこともあるが、FFであることをさほど意識させないスッキリとしたハンドリングはなかなか魅力的だ。

1.8Lエンジンは6速MT用にマネージメントを見直したという。これはスペックを見てもわかるが、けっしてパワフルさを狙ったものではないことがうかがえる。それよりも全域でリニアに反応を示すことを目指したということだろう。6速MTをフルに使い切り、レブリミットとなる6500rpmまでキッチリ回し切る楽しさがある一方で、どんな領域でも応答に優れているところがポイントだ。

ただ、ここまで全体的に走りを意識した仕上がりにも関わらず、全開領域からスロットルペダルを戻した時、一瞬応答が遅れること。そしてペダルレイアウトがヒール&トゥに適していないことが気になった。絶対的な速さよりも走りの質感を追い求めたクルマだと認識できるだけに、このあたりは惜しいところだ。

もっとも、こんな重箱の隅を突くようなことを言いたくなるのは、その奥深い走りの質感に共感したからこそ。「常識に尻を向けろ」とスポーツモデルをわざわざ日本市場に用意したオーリスだからこそ。その心意気は応援したいし、これから着実に育てていってほしいと願うからだ。

最近(編集部註:2012年)のトヨタはベーシックからレクサスまで走りを意識したクルマが多く、それを年々熟成させる土壌が確立しつつある。そんな中だからこそ誕生したこのオーリスRSは、速さばかりを追わず、走りの質感を高めようとしたことが伝わってくる。今後も楽しみな一台だ。

画像: 低中速のピックアップを改良し、トルクフルに仕立てた1.8Lユニットは、6速MTとの相性も抜群に仕立てられている。

低中速のピックアップを改良し、トルクフルに仕立てた1.8Lユニットは、6速MTとの相性も抜群に仕立てられている。

トヨタ オーリス RS 主要諸元

●全長×全幅×全高:4275×1760×1460mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1797cc
●最高出力:106kW(144ps)/6200rpm
●エンジン最大トルク:180Nm(18.4kgm)/3800rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●JC08モード燃費:14.4km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●当時の車両価格(税込):202万円

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