地道な取り組みがAIとのコラボで新たなステージへ
各種運転機能の高度化などクルマとの付き合いかたを根本的に変える可能性を秘めたSDVに関しては、アップデートが着実に進む「日産CCS(Connected Car and services)プラットフォーム」が実際に搭載された時の、実車としての完成度が気になるところだろう。

北米向けのINFINITI ブランド、注目は左の新型クロスオーバークーペ「QX65」だろう。同ブランドとしては「QXeコンセプト」にインスパイアされた新SUV EVが2028年度に加わる予定だ。
カギを握るのはご他聞に漏れず「AI」となるようだが、日産の場合は単に便利なだけではない「ライフタイムバリューを最大化」するドライブ体験、操作体験を実現してくれるという。
そこで提供してくれる価値を端的な印象で並べてみると・・・
・レスポンスよく応答してくれる優れた操作性
・マルチタスクをストレスなく使いこなせる多用途性
・個々人の好みによりそうおもてなし力とパーソナライズの可能性
・サードパーティ製アプリにも対応する拡張可能性
といったあたりに、日産らしいSDVが目指す理想のエッセンスが秘められているようだ。
高度なシステムプラットフォームの構築が必要になることは言うまでもないが、そのプロセスに「日産内製ビークルOS」があることに、長い間、プロパイロットなど先進運転支援システムの独自開発にこだわりぬいてきた日産開発陣の矜持が感じられるように思えた。
スポーツカーの血統にもブランド力あり。たゆまず進み続ける
再び、エスピノーサ次期CEOとのラウンドテーブルに話を戻そう。実は最後のQ&Aでとても興味深いクエスチョンに対して、とても率直な答えが返ってきたことが印象的だった。その質問とはもちろん「次期スポーツカー、あるやなしや」といったものである。

ラテンアメリカ向けには、スタイリッシュなピックアップトラック「新型フロンティア/ナヴァラ」や、コンパクトセダン「ヴァーサ」が投入予定。こちらも多彩。
d1uzk9o9cg136f.cloudfront.netアタマにアイデアはあります。それをどうやって実現させるか・・・きわめて前向きに検討中です、ということのようだ。
そもそもエスピノーサ氏が「ニッサンファン」になったきっかけは、若い頃に街中で見かけた300ZX(4代目?)だったというから、前向きコメントの信ぴょう性はそうとうに高い。実際、Zの開発チームに加わっていたこともあるし、最新のZに毎日乗っているというから羨ましい。
「(スポーツカーは)利益云々を語る以上の存在。(日産にとって)ブランドそのもの。(その血統を)持続させることをお約束します」という力強いコメントに、思わず拍手しそうになった。
市場のニーズに沿った商品導入という目線とか、プラットフォームの共通化(「ファミリープロジェクト」と呼ばれているらしい)による効率的な企画・開発への挑戦、さらにはVR技術を駆使した「デザイン決定会議」がもたらすスピーディ極まりない車種展開のポテンシャルなど、地力は確かなものがある。
そこから生まれる新たなクルマたちには、しっかり期待して良い。願わくば、世界で展開されている魅力的なクルマたちがもっと日本で楽しめるようになると、なお良い。