走りはスポーツカーだが、快適性と運転支援も充実
M235 GCのエンジンは、1Lあたり約150psという大出力を発生する2L直4ターボで、ダイレクト感がある7速DCTを組み合わせる。この組み合わせのパワーユニットは、アクセルペダルの操作に敏感に反応し、その加速感は楽しい。エンジン音も心地良い。

インパネデザインは先に発売された1シリーズに通じる。フロントシートは「M」エンブレム入りのセミバケットタイプを装備。
とくに気に入ったのは、ハンドリングと乗り心地だ。M235 GCにはアダプティブMサスペンションが装備され、走行条件によってダンピングを変化させる。しかし、その切り替わりは自然なので、多くのドライバーは変化したことに気が付かないまま快適な走りを楽しむことになるだろう。
サーキットで200km/h近いスピードを体験すると、スタビリティが高くハンドリングもご機嫌だ。フロントヘビーなFF車にありがちなアンダーステア傾向が感じられない。
路面が少し濡れていてタイヤが滑るシーンでは「DSC(ESC)」が的確に介入してブレーキを制御。クルマを安定させるが、ドライバーが違和感を覚えるような制御ではなかった。ブレーキフィールは剛性感があるが、グッとブレーキペダルを踏みこむと、踏力に応じて制動Gが立ち上がる。つまり、自在にコントロールできるブレーキで、これはもはやスポーツカーの資質に近い。
一般道路も走ったが、うねった路面での乗り心地が素晴らしい。日本で乗ったMINIでも感じたプラットフォームの素性の良さを受け継いでいる。太めのハンドルを切り込むとステアリングの正確性は予想以上の高さだった。

写真はオプションの19インチアルミホイール。その奥に見えるフロントブレーキキャリパーは4ピストン。リアはシングルとなる。
感動したのは運転支援システムだ。ACCとLKASは秀逸で、従来型よりもさらに進化している。ステアリング制御の反力は大きめで、慣れない人は驚くかもしれないが、逆に言えばシステムがステアリング制御していることを明確にドライバーに伝えている。カメラ認識も正確で、車線のトレース性は素晴らしかった。
そんなM235 GCの魅力を日本でも味わえるようになるのは2025年春とのことだ。
BMW M235 xDrive グランクーペ 主要諸元
●Engine 種類:直4DOHCターボ 排気量:1998cc 圧縮比:9.5 最高出力:221kW(300ps)/5750-6500rpm 最大トルク:400Nm(40.7kgm)/2000-4500rpm 燃料・タンク容量:プレミアム・49L WLTPモード燃費:12.1km/L CO2排出量:185g/km ●Dimension&Weight 全長×全幅×全高:4546×1800×1435mm ホイールベース:2670mm トレッド 前/後:1562/1562mm 車両重量:1575kg 最小回転直径:11.7m ラゲッジルーム容量:430L ●Chassis 駆動方式:4WD トランスミッション:7速DCT ステアリング形式:ラック&ピニオン サスペンション形式 前/後:ストラット/マルチリンク ブレーキ形式 前/後:Vディスク/Vディスク タイヤサイズ:255/45R18 ●Performance 0→100km/h加速:4.9sec. 最高速度:250km/h