予選トップのフェルスタッペンでもマクラーレンを抑えられず
ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペンとレッドブルの優勝への期待は、マクラーレンのレースでの圧倒的な速さを前に、脆くも潰えてしまった。
スタート直後はフェルスタッペンと2番グリッドスタートのノリスの一騎討ち。ターン1こそフェルスタッペンが前で入ったものの、その後のターン2へのターンインでは両者が並ぶ形となり、アウト側のノリスがコースを外れて6番手まで後退。これで首位フェルスタッペン、2番手がキミ・アントネッリ(メルセデス)、3番手がピアストリというオーダーとなる。
首位フェルスタッペンはそのままリードを広げるかと思われたが、4周目にアントネッリをあっさりとかわしたピアストリが瞬く間に差を詰め、そこからふたりの首位争いへ。
しばらくはピアストリを抑え込んでいたフェルスタッペンだったが、ついに14周目、やや自滅気味に首位陥落。フェルスタッペンは追い上げてきたノリスにもオーバーテイクを許し、さらにはその後、バーチャールセーフティカー時のタイヤ交換という幸運に恵まれたラッセルにもかわされ、4位に終わってしまう。

ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だったが、レース序盤からマクラーレン勢の猛追を受けて防戦一方。
マクラーレンがスプリントに続いて1-2フィニッシュ
一方、1-2体制となったマクラーレン勢は快調。首位ピアストリと2番手ノリスとの差はフェルスタッペン攻略にノリスが手間取ったことが響いてなかなか縮まらなかったものの、2台は3番手ラッセルには30秒以上もの差をつけてそのままフィニッシュした。
バーレーン、サウジアラビアに続く3連勝、今季4勝目を達成したピアストリは、「昨日のスプリントはうまくいかなかったけど、今日はいいリザルトを残せた。マックスとのバトルはターン1であういう動きをすると思っていたから予想通りだった。そのあとは順調。ハードタイヤの第2スティントは最初苦労したけど、(ノリスとの)差があったから助かった。2年目のマイアミでは僕らは最下位のチームだった。それが今年は3位に大差をつけることができた。本当にチームは素晴らしい仕事をしてくれている」と、いつもの涼しい顔でコメント。
これでピアストリは、前日のスプリントで縮められたドライバーズ選手権での同僚ノリスとの差を再び16点差とすることに成功。コンストラクターズ選手権では首位マクラーレンと2番手メルセデスの差が早くも100点以上に広がっている。

マイアミGPを制したマクラーレンのオスカー・ピアストリ。2位にもランド・ノリスが入り、マクラーレンは今シーズン2回目のワン・ツー・フィニッシュとなった。マクラーレンは前日のスプリントでも1位と2位を獲得し、この週末フルポイントの大量58ポイントを獲得した。
角田裕毅(レッドブル)は10番グリッドからスタートしたもののなかなかレースペースが上がらず、ピットレーンでの速度違反ペナルティ(+5秒)もあり苦戦。それでもなんとか予選と同じ10位でフィニッシュして、前日のスプリントに続いてポイントを獲得した。
タイヤを供給するピレリはマイアミGPを終え「スタートでは、ミディアムタイヤとハードタイヤの2つのグループに分かれました。理論上より速い戦略となるミディアムタイヤが13名、ピットストップの時間を遅らせることでチャンスを待つ戦略のハードタイヤが7名でしたが、タイヤ戦略に関してはシンプルなレースとなりました。ミディアムタイヤのデグラデーションは非常に少なく、しかもバーチャルセーフティカーの導入によりハードコンパウンドに切り替えやすくなりました」と分析する。

マイアミGPのタイヤ戦略。デグラデーションは少なく、戦略的には波乱がなかったが、ドライバーが思う存分プッシュできた分、多くのバトルが繰り広げられた。
次戦第7戦エミリア・ロマーニャGPは、5月16日にイタリア・ボローニャ近郊イモラのアウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディノ・フェラーリで開幕、決勝レースは5月18日に開催される。(文:新村いつき)