混戦の中、シリーズをリードするのはフェラーリ
今シーズンのハイパーカークラスはフェラーリが開幕戦から2連勝、これをBMW 、トヨタ、アルピーヌ、ポルシェ、キャデラック、プジョーが追う展開となっている。ただ、フェラーリが抜け出す形になっているとはいえレース内容は混戦となっており、各チーム間のスピード差は大きくなく圧倒的といえない印象。ル・マン24時間を前に、どうチームもきっかけをつかみたいところだろう。

開幕戦カタールでは50号車、第2戦イモラでは51号車が優勝。開幕から2連勝中のフェラーリ。好調をキープしたまま、ル・マン3連覇へと進みたい。
前戦イモラ6時間はフェラーリの地元レースだったが、ドイツ・ケルンにチームの本拠地を置くトヨタにとって、スパ・フランコルシャン6時間は重要なホームレース。ここまで着実にポイントを積み重ねてきたトヨタは、今季初表彰台、今季初優勝を狙う。

今季まだ表彰台はないが、着実にポイントを稼いでいるトヨタ。スパ・フランコルシャン6時間で弾みをつけたい。
2025年WEC世界耐久選手権ドライバーズランキング(第2戦終了時)
1位 グイディ/カラド/ジョビナッツィ(フェラーリ) 50
2位 クビサ/イーフェン/ハンソン(フェラーリ)39
3位 フォコ/モリーナ/ニールセン(フェラーリ)38
4位 ラスト/フラインス/リンデ(BMW)27
5位 ファントール/マルチェロ/マグヌッセン(BMW)26
6位 ブエミ/ハートレー/平川亮(トヨタ)25
7位 コンウェイ/小林可夢偉/デフリース(トヨタ)18
2025年WEC世界耐久選手権マニュファクチャラーズランキング(第2戦終了時)
1位 フェラーリ 92
2位 BMW 63
3位 トヨタ 53
4位 アルピーヌ 15
5位 ポルシェ 12
6位 キャデラック 117位 プジョー 10
ル・マンに向けてマシンを仕上げる意味でも格好のレース
第3戦の舞台となるスパ・フランコルシャン・サーキット(Circuit de Spa-Francorchamps)は、F1でもおなじみの、ベルギー・アルデンヌの森の中に位置する起伏に富んだ高速コース。アップダウンの激しい山岳コースため、大きなパワーが求められる高速の上り坂のほかハイスピードでテクニカルな下りコーナーもあり、タイヤへの負担が大きい上にエンジン全開率も高く、マシンにとってもドライバーにとってもタフなコースとして知られる。

ベルギー・アルデンヌの森の中に位置するスパ・フランコルシャンサーキット。急勾配をハイスピードで一気に駆け上がる「オールージュ」、それに続く「ケメルストレート」「レ・コンブ」、急激な下り坂の先にやってくる連続する左コーナー「プーオン」、鋭角的な1コーナー「ラ・ソース」などタフなコーナーが散りばめられる。
パワーを必要とする高速コースのスパ・フランコルシャン・サーキットは、第4戦ル・マン24時間が行われるサルテ・サーキットに似ているところも多く、マシンセッティングをはじめ、タイヤマネージメントや電気エネルギーのマネージメントなど、ル・マンに向けた準備といった意味でも格好のレースとなる。
またスパ・フランコルシャン・サーキットは変わりやすい天候でも有名で、コースコンディションは日によって変わるだけでなく、時間によっても不安定となることもある。時にコースの一部だけがウエットとなることも珍しくなく、タイヤ交換の時期や選択など、チームの判断力、総合力も問われる。
昨年の「スパ・フランコルシャン6時間」は、序盤からまるでスプリントレースのような激しい戦いが繰り広げられ、接触や多重クラッシュ、フルコースイエロー、セーフティカー、赤旗中断が続く波乱の展開となった。