少ない電池残量が功を奏したバンドーンが優勝
いきなりエクストラパワーを得たブエミは早々に4位に浮上。350kWがプラスされた加速力は凄まじく、ブエミは8周目には2位に浮上する。

バンドーンも日本に縁のあるドライバー。スーパーフォーミュラのチャンピオンでもある。
一方、トップのローランドは先頭ながら他車に比べても電気残量を残して走行。さらに2位との差を3秒にまで拡げ優位に進めていく。ブエミに抜かれたモルタラだったが、こちらもアタックモードに入りブエミを抜き返してみせた。
ローランドはアタックモードに入らずにその差をさらに拡げていく。13周目、昨年の東京E-Prixウィナーのマキシミリアン・ギュンターがターン15でストップ。一度イエローがだされたが、すぐに赤旗が掲示された。各車一時ピットに戻り再開を待つことに。オーダーはローランド、ブエミ、バーナード、ナト、ロビン・フラインスというトップ5。アタックモードを使わずにギャップを築いていたローランドには厳しい展開となってしまった。
一方、赤旗中断前に唯一ピットインし、エネルギーチャージを行ったストフェル・バンドーンは周回遅れから同一周回に戻りロスタイムを無くすことに成功。エネルギーが保てば、優勝の可能性も見えてきた。
暫しの中断の後、レースは15周目からスタンディングスタートで再開。2度目のスタートもローランドがトップを守り、再びリードを築いていく。そして17周に1度目のアタックモードを消化するも変わらずトップを守っている。
日産陣営はエネルギーチャージのため、ナトをピットに呼ぶ。そして24周目にはトップのローランドもピットインしエネルギーチャージを行った。ローランドはピットイン組の2位、8番手でコースに復帰した。ピット組の最上位であるバンドーンは、実質トップとなる。
28周目に全車ピットインが完了し、トップはバンドーン、2番手にローランド、3番手にはバーナードがつけている。バンドーンとローランドとの差は19秒差。懸念されていた電池残量はローランドとほぼ同じであることから、バンドーンがかなり有利に。
残り4周時点でアディショナルラップが3周であることがアナウンスされるも、バンドーンは安全マージンを築いており独走。戦略が見事にハマったバンドーンが最後までレースをコントロールし優勝を果たした。
バンドーンにプレッシャーをかけるため、終盤プッシュする場面もあったローランド。その影響もあり、ファイナルラップではバーナードに迫られるもなんとか2位に入った。昨年同様ポールから2位という結果に終わったが、チャンピオンシップではさらにポイント差を拡げた格好だ。悲願の優勝は翌日の第9戦に持ち越しとなった。

レース後のインタビューでは、序盤にエネルギーを消費し、早くピットインすることは事前に決めていた作戦だったと語ったバンドーン。赤旗により作戦が最高の結果に繋がった。