上級車に見劣りしない機能とスペック
スペックは、カジュアルがバッテリー容量42kWh/最高出力71kW/最大トルク147Nm、ヴォヤージュとラウンジは49kWh/85kW/147Nmである。前述のようにコンパクトなボディと軽い車両重量ということもあり、走り出すとパフォーマンスに不満を感じる場面はまったくなく、BEVらしく瞬時に最大トルクが発生してとても扱いやすい。
インテリアも好印象。運転席に座ると見えるメータークラスターは10.25インチ、インパネ中央にも同じサイズのディスプレイが配置され、ここにさまざまな機能が集約されてている。その使い方は自然なものなのでヒョンデオーナーはもちろん、初めてでもすぐに慣れて深い階層の機能も簡単に使いこなせるだろう。
メーターも凝っている。ドライブモードとの連動に加え、キューブデザインも加わった。これはIONIC 5やKONAにはなかったものである。特徴は、キューブ形状のメーターがまるで鼓動のように動くことである。その動きは実にゆったりとしていて、まるでリラックスしているときの脈拍のようである。これを見ていると心が落ち着いてくるから不思議だ。

メータークラスターは10.25インチ、中央にも10.25インチのセンターディスプレイを配置、そこに多彩な機能を集約。
日本市場の要望に応えてペダルの踏み間違いにも対策
ヒョンデは、セグメントの大小で装備や機能に差を付けない。事実インスターには、このクラスでは通常設定すらされないシートヒーターやステアリングホイールヒーター(ヴォヤージュ/ラウンジ)、シートベンチレーション(ラウンジ)が装備されている。
これは安全装備についても同様で、全グレードに採用される機能に加え、先進のデバイスをパッケージして採用した「ヒョンデスマートセンス」も標準化されている。たとえば、ヒョンデ車に装備される、ウインカーと連動してメーター内に車両後方を映し出す「ブラインドスポットビューモニター」は、ヴォヤージュやラウンジに標準装備だ。この機能は実に便利で、たとえば、左折時に車両後方から接近するバイクや自転車がディスプレイで確認でき、安全に貢献してくれるのだ。
日本市場からの要望も採り入れられた。それが「ペダル踏み間違いセーフティアシスト」である。これは日本の軽自動車にも採用されることがある機能だが、輸入車にはまだあまり採用例が少ない。それでもヒョンデは、日本の軽自動車をよく研究し、必要だと判断、採用に踏み切ったのである。これは英断だろう。総合力も高く、インスターは今年、注目の1台である。

BEVのメリットはリチウムイオンバッテリーに貯めた電気を移動できること。インスターはそれを車外の家電などに使用できるV2L機能も持っている。
ヒョンデ インスター ラウンジ 主要諸元
●全長×全幅×全高:3830×1610×1615mm
●ホイールベース:2580mm
●車両重量:1400kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:85kW(115ps)/5600-13000rpm
●最大トルク:147Nm(15.0kgm)/0−5400rpm
●バッテリー総電力量:49kWh
●WLTCモード航続距離:458km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:205/45R17
●車両価格(税込):357万5000円