学生にとっては貴重な経験と「学び」が待っている
1976年に開校したホンダ学園は、初代校長を務めた本田宗一郎氏の「技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい」という志のもとに始まりました。まもなく創立50周年を迎えるホンダ学園は、これまで卒業生をのべ2万2000人超送り出し、ホンダだけにとどまらず世界中の自動車業界で活躍する存在を育成してきました。
その記念すべき創立50周年を記念したチャレンジ企画として、第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの出場が決定しました。参加するのはホンダ学園に在籍する学生有志30名とレーシングドライバーの佐藤琢磨選手(ほか教員数名)で、生徒たちは佐藤琢磨選手が無事完走できるように車両整備や運営支援、コ・ドライバーなどを務めます。

佐藤琢磨選手と本ラリーに参加するホンダ学園の生徒たち。制服は2025年度で1年生が黒、2年生が青、3年生が赤、4年生がグレーだという。
彼らは1級自動車整備学科から24名、研究開発学科から5名、関西校から1名の計30名が参加予定で、学年は1〜4年まで全世代が含まれています。世界的な公式レースに学生たちが挑戦するという、自動車メーカーが主体となる教育機関ならではの稀有な機会ということで、参加する学生たちにとっては何にも変え難い挑戦と「学び」となることでしょう。
参加車両は1975年式シビックRS! 学生たちがレストアを実施
彼らが参加するラリー・モンテカルロ・ヒストリックとは、1911〜1980年代初頭までの「ラリー・モンテカルロ」に参加実績のある車種または同等仕様のヒストリックカーをモナコを起点に、南仏アルプス山岳地愛を中心とする複数都市を駆け抜けるラリーレースです。
ホンダ学園は2010年から、東京大学と共に正規授業プログラムとして本レースに参加してきた実績があります。しかし今回はホンダ学園の生徒のみが参加するほか、車両レストアから整備、部品調達、宿泊施設の手配を含めた現地での運営支援やコ・ドライバー担当まで、一貫して生徒が主体となって行うのが大きなトピックです。

参加車両となる1975年式シビックRSはレストアから整備、車検取得や出国通関など車両準備に関わるすべてを学生たちが主体となって行う。
と、気になるのは実際にラリーを走る参加車両ですが、選ばれたのは1975年式シビックRS。というのも、参加車両の条件に合致するホンダ車は初代シビックが唯一該当したということで、他に選択肢がなかったというのも理由のひとつですが、レストアから車検申請まで一貫して学生が車両整備を行なっている点は非常に興味深いです。
学生リーダーを務める飯塚はるなさんは「レストア前のシビックRSは、腐食が進んでいる部分もあり修復にはとても苦労しました」と語りました。けれどメディアに公開された実車は、ボディ骨格からペインティングまで非常に綺麗な状態で、彼らがいかに苦労して仕上げてきたかを確認することができました。
参加する車両は合計で2台。サンセットオレンジとマドリードレッドのボディカラーにちなんで「サンセット号」「マドリード号」と命名されました。サンセット号のドライバーはレーシングドライバーの佐藤琢磨選手で、マドリード号のドライバーはホンダ学園 ホンダテクニカルカレッジ関東校長の勝田啓輔氏が務めます。
そのほか本田技研工業や本田技術研究所出身で知見と経験の深いホンダ学園の教員4名がサポートを行い、万全の体制をもってラリー・モンテカルロ・ヒストリックに挑むことになります。