強力なモーターと、柔らかな足まわり
印象が大きく変わったエクステリアとは異なり、コクピットは前述したEX30からほぼ変わっていない。シンプルなデザイン性や、スカンジナビアをイメージした柔らかなアンビエントライトは心地いい。
なかでも気に入っているのが、リサイクルアルミニウムを使ったインナードアハンドル。樹脂素材を使用するクルマが多い中で、手に伝わってくるひんやりとした感触と操作したときの剛性感の高さは降車するたびにプレミアムさを感じられる大きなポイントのように感じられる。
全高が高まったことによる前方視界の違いは正直体感できるほどではないが、走り出すとまったく違うクルマかのようだ。
パワートレーンは従来EX30になかった前後2モーターによる4WDでとにかく加速が強烈。1.9トン近いボディを3.7秒で100km/hまで加速させるモーターパワーは、「これほど必要なのか」と思うところもあるが、使わなければ良いだけのこと。それよりも、クロスカントリーの真髄は柔らかでスムーズな乗り味にあるのだが、加えて個性的でもある。

細かいところだが、リサイクルアルミでできたインナードアハンドルの操作感が良い。
EX30に限らずボルボ車はボロン鋼と呼ばれるウルトラハイテン材を、ピラーやフロアセンターなどキャビン周辺に多用してボディ剛性と乗員保護性能を高めている。その上でEX30クロスカントリーは、前後サスペンションスプリングやアンチロールバーをよりソフトに設定され、これとタイヤサイズ変更を加味してダンパーが調整されているのだ。
しかも、フロア下に69kWh容量のNMCリチウムイオンバッテリーを搭載しているため低重心さも加わり、剛性感の強いボディは高速道路での走行安定性を予感させ、一方でワインディングロードではゆったりとしたロールを感じながらコーナーを曲がっていき、そして街中では段差をキレイにいなしながら快適性の高さを体感させてくれる。

69kWh容量の三元系リチウムイオンバッテリーを搭載して、走行可能距離は500km。
総合的に考えて、いままで味わったことがない、個性が強い走行性能を持ち合わせている。長く付き合っていけば新たな一面が見えてくるのではないかと、所有した先を想像してしまうのはそれだけの魅力があるからだろう。
ボルボ EX30 クロスカントリー ウルトラ ツインモーター パフォーマンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4235×1850×1565mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1880kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力 前:115kW(156ps)/6000-6500rpm
●最高出力 後:200kW(272ps)/6500-8000rpm
●最大トルク 前:200Nm/5000rpm
●最大トルク 後:343Nm/5345rpm
●バッテリー総電力量:69.0kWh
●WLTCモード航続距離:500km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:235/50R19
●車両価格(税込):649万円