2025年10月3日金曜日(現地時間)、F1第18戦シンガポールGPがシンガポール市街地のマリーナベイ・ストリート・サーキットで開幕、10月5日日曜日にナイトレースとして決勝が行われる。F1グランプリはカスピ海沿岸のバクーから赤道のわずか北140キロに位置するシンガポールへ南下、同じ市街地サーキットながら、気候もコース設定もまったく異なる戦いに挑む。ここからF1グランプリはいよいよフライアウェイ戦に突入し、12月の最終戦第24戦アブダビGPで迎えるクライマックスへと向かう。

特殊なコース設定が、スリリングで予測不可能なレースを演出

シンガポールGPが行われる舞台は、湾岸地区に特設される市街地コース。前戦アゼルバイジャンから大きく南下することで、湿度と気温は大きく変化、湿度は70%を超え、気温は24〜31度と高温で、レース中のコックピット内の気温は50度を超えると言われる。

このためシンガポール市街地コースはドライバーにとって最も過酷なコースのひとつとなり、レース中には3kgも体重が減少することもあるという。さらにコースは曲がりくねっており、ランオフエリアが非常に少なく、少しでもラインから外れるとバリアが迫るため、ドライバーはハンドルを握る手を休める場面はほとんどない。

高温多湿な環境を少しでも避けるため、シンガポールGPは投光照明の下で行われるF1初のナイトレースとして開催されているが(実際は緯度の影響で昼夜の気温差はほとんどない)、決勝レースは欧州での通常レースとほぼ同じ時間にスタートすることになり、関係者の時差ボケの問題を解消するとともに、欧州のF1ファンがTV観戦しやすい効果も生まれている。(日本時間では日曜日21時スタート)

シンガポールGPはスペクタクルなナイトショーとして高い人気を誇っているが、そのショーを演出するのがタイトなコース設定で、全長4.940kmに19のコーナーがレイアウトされている。ストレート区間が短くオーバーテイクが難しいため、テールトゥノーズでの息もつかせぬ攻防が見られるのも人気のポイントだろう。

オーバーテイクが難しいため予選が重要となるが、想定外のことがしばしば起こる。予測が難しい要素には、アクシデントによるセーフティカーやバーチャルセーフティカー、天候の変化があげられる。シンガポールは天候の変化が激しく、昼夜を問わずいつでも雨が降る可能性があり、雷雨も珍しくない。雨によって路面にのったラバーが洗い流されてグリップの小さな路面はさらに滑りやすくなり、道路標識がドライバーにとっては追加のリスクとなる。また、路面に反射した光がバイザーに映り込み、それがドライバーを悩ませるが、路面が濡れるとさらにやっかいになる。

シンガポールGPはこれまでに15回開催され、そのうち10回はポールポジションから優勝が決まっている。これは予選がいかに重要かを示しており、優勝者が5番手以下から勝ち取ったのは初開催の2008年のみで、その時はフェルナンド・アロンソが15番手からスタートし、混乱した展開を経て優勝した。

画像: シンガポール市街地に作られるマリーナベイ・ストリート・サーキット。ふだんは公道として使われているため、路面はバンピーで、摩擦が非常に小さい。また一部ではコース幅は比較的広いが、ランオフエリアはほとんどなくバリアは非常に近い。

シンガポール市街地に作られるマリーナベイ・ストリート・サーキット。ふだんは公道として使われているため、路面はバンピーで、摩擦が非常に小さい。また一部ではコース幅は比較的広いが、ランオフエリアはほとんどなくバリアは非常に近い。

画像: マリーナベイ・ストリート・サーキットのコース図。全長4.940kmに19のコーナーがレイアウトされている。ストレート区間が短くオーバーテイクが難しいため接近戦となることが多い。

マリーナベイ・ストリート・サーキットのコース図。全長4.940kmに19のコーナーがレイアウトされている。ストレート区間が短くオーバーテイクが難しいため接近戦となることが多い。

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