伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、フェラーリ 550マラネロだ。

フェラーリ 550マラネロ(FERRARI 550 MARANELLO:1996〜2001)

画像: 2+2の456GTのホイールベースを100mm短縮して2シーター化しているが、ボディデザインなどは別ものだ。

2+2の456GTのホイールベースを100mm短縮して2シーター化しているが、ボディデザインなどは別ものだ。

1996年、フェラーリはF512Mに代わるフラッグシップモデルとして「550マラネロ」を発表した。550とはフェラーリ伝統の1気筒あたりの排気量から付けられた車名ではなく、総排気量が約5.5Lであることを意味し、マラネロとはフェラーリの本拠地がある町の名前に由来する。この後のフェラーリには、ゆかりのある地名を車名に用いるものが増えていく。

550マラネロの最大のエポックは、フラッグシップながらエンジン搭載位置をミッドからコンベンショナルなフロントへと回帰したこと。これは、「デイトナ」と呼ばれた365GTB/4以来およそ四半世紀ぶりのこととなる。ただし456GT同様にトランスミッションはデフと一体でリアにマウントされたトランスアクスル方式となる。

550マラネロは1992年に発表された2+2GTの456GTのホイールベースを100mm短縮して、2シーターとしたモデルだ。発表の場にはニュルブルクリンクが選ばれ、当時のフェラーリF1ドライバーであったミハエル・シューマッハがステアリングを握ってハイパフォーマンスぶりを披露するという、衝撃的なデビューを飾った。

画像: 456GTのV12エンジンを485ps/58.0kgmにまでチューニング。そのパフォーマンスは世界最高峰だった。

456GTのV12エンジンを485ps/58.0kgmにまでチューニング。そのパフォーマンスは世界最高峰だった。

ロングノーズのフロントに収まるパワーユニットは、456GTに搭載されたものの進化版で、5473ccの65度V型12気筒 DOHC。排気量はそのままだが圧縮比を10.8にアップし、燃料供給装置をボッシュ モトロニックのM2.7からM5.2に換装し、最高出力は456GTの442psから43psも引き上げた485psにチューンされている。

「従来のミッドシップ モデルを上回るパフォーマンスを発揮する」と豪語したフェラーリは、1998年12月には100kmの平均巡航速度が304.1km/hという、市販車の世界速度記録を樹立してみせた。公称最高速度は320km/hで、テストコースでのラップタイムはF512Mより速かったという。

シャシはフェラーリ伝統の鋼管スペースフレームだが、足まわりにはASR(トラクションコントロール システム)と連動した電子制御可変ショックアブソーバーを採用、超高速域での安定性を確保するなど、フラッグシップにふさわしい先進技術を搭載した。なお、550マラネロは2002年に「575Mマラネロ」へと進化している。

画像: ラウンド基調でデザインされたインパネ。スタンダードではあるがアグレッシブさも感じさせる。

ラウンド基調でデザインされたインパネ。スタンダードではあるがアグレッシブさも感じさせる。

フェラーリ 550マラネロ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4500×1935×1275mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:1740kg
●エンジン種類:65度V12 DOHC
●総排気量:5473cc
●最高出力:485ps/7000rpm
●最大トルク:58.0kgm/5000rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・114L
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●タイヤサイズ:前225/40ZR18、後295/35ZR18

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