車両部門に見る「愛される個性と地域へのやさしさ」
2025年度のグッドデザイン賞のメインテーマは、「はじめの一歩からひろがるデザイン」。現代社会を象徴するものだけでなく、これからの社会が秘める可能性を示すシンボルとなるような商品、サービスが選ばれた。

エイム株式会社「エイム EVM」への審査員コメント●離島の生活形態や道路環境に鑑みて、最適な車体サイズやレイアウトを導き出し、地域の自然や文化をモチーフに、快活さと楽しさを湛えたデザインを実現した。離島地域の新たな発展をも予感させる 。
モビリティの分野では、単なる機能性や見た目だけでなく、社会への貢献や、使う人が「楽しい」「心地よい」と感じる体験の創出が重視されたポイントとなっている。
カテゴリーを代表する1台として「金賞」に選ばれたエイム株式会社の電気自動車「AIM EVM」などはまさに、私たちの暮らしや移動を豊かにする未来志向の「超小型モビリティ(認定車)」だ。
全長2.5m×全幅1.3mのコンパクトボディながら、大人2名が快適に乗れる室内空間と荷物用スペースを確保。3.5mの最小回転半径だけでなく、高トルクモーターが実現する優れた登坂性能など、離島環境での使用に適した設計が特長と言える。
ガソリン供給が不安定な離島などでは、電気自動車の有用性が際立つ。加えて災害時の非常用電源としても頼りになる。文字どおり「地域の課題解決」をそっと支えるとともに、新たな発展を予感させるようなデザインとして高い評価を得た。

グッドデザイン・ベスト100:三菱自動車「デリカミニ」への審査員コメント●兄弟車である日産ルークスとの差別化も先代以上に明確であり、その点でも大きく評価できる完成度の高いデザインである。
三菱自動車は、新型デリカミニが「ベスト100」を受賞、これまでのコンセプトを大切にしつつ、軽自動車らしからぬ安定感や、親しみやすさとタフさを併せ持ったデザインが高く評価された。また「デスティネーター」もグッドデザイン賞に選ばれたが、こちらは力強いデザインの中に優しさを感じさせる表現を取り入れ、三菱らしい頼れる存在感を確立した完成度の高さがポイントとなっている。
三菱はデリカシリーズも、「ロングライフデザイン賞」を受賞している。初代発売から半世紀以上にわたる伝統を継承しながら、時代に合わせて進化を続け、MPVの優れた居住性とSUV の機動性・信頼性を巧みに表現した力強いデザインに称賛が集まった。
ちなみに受賞したデリカミニと新型デリカD:4は、「GOOD DESIGN EXHIBITION 2025」に実車が出品されている。

ロングライフデザイン賞:三菱自動車「デリカシリーズ」へのコメント●「人と荷物を安全に運ぶ」という強いアウトカムがあり、それがすべての時代においてのデザインの芯となり、ブレない性能や細かな部位の機能にあらわれている。

