初採用の電動コンプレッサーはターボチャージャーを高精度に制御
アウディは「Q5」と「A6」向けに、ディーゼルターボエンジンV6 3L TDI(最高出力299ps/最大トルク580Nm)に48Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた、進化型パワートレーンを新たにラインナップした。

進化型V6 3L TDI+マイルドハイブリッド パワートレーンを手に入れたQ5(左)とA6。
何が進化型なのか? アウディの次世代48VマイルドハイブリッドシステムMHEV plusに加え、初となる電動コンプレッサーが組み合わされることで、高効率なパフォーマンスを実現しているからだ。ちなみに、MHEV plusはベルト駆動式オルタネータースターターとパワートレインジェネレーターふたつの電動コンポーネンツから構成されるので、進化型V6 3L TDIは計3つの電動コンポーネントを有することになる。
それぞれの役割を見ていこう。MHEV plusは、ベルトオルタネータースターターがエンジンを始動し、電動コンプレッサーがターボチャージャーのブースト圧を増幅させる。動力を直接車輪に伝えるパワートレインジェネレーターは、発進時および追い越し時に最高出力18kW(24ps)/最大トルク230Nmを供給し、減速時には最大25kWのエネルギーをバッテリーに送り返す。
また電動コンプレッサーは、2ステージチャージと呼ばれる考えのもと、ターボチャージャーを高精度に制御することでターボラグを極力少なくし、低回転からの高トルクを発生させ、加速時におけるレスポンスの向上に大いに貢献している。吸気経路内の従来型ターボチャージャーとインタークーラーの後方に配置されて、電力は48V車載電源システムから供給される。

「A6」の進化型パワートレーン。V6 3L TDI+マイルドハイブリッドに電動コンプレッサーが組み合わされる。
電動コンプレッサーは「S4」「S6」「SQ5」ですでに用いられているが、その大幅な性能向上にも注目したい。「より広い作動範囲とより速いブースト立ち上がりにより、大幅にパワフルさを増している」と、アウディはアナウンスしている。これは、コンプレッサーのエアフロー設計とそれを駆動する永久磁石同期モーターの最適化、そして6気筒への空気供給の改善が寄与しているという。
進化型V6 3L TDIのポイントは燃料にもある。欧州規格に準拠した、環境にやさしいバイオディーゼル燃料HVO100の使用が承認されているのだ。石油由来のディーゼル燃料と比較して、CO2排出量 が70~95%削減される。環境性能でもハイパフォーマンスを誇るパワートレーンというわけだ。


