2026年6月でアルピーヌA110が生産終了になることが決まった。次期型はBEVと言われているから、つまりこれが「最後の内燃エンジン搭載車」になる。そんな最終型A110のフルラインナップを試乗した。ブランド70周年の節目にA110が残した走る歓びをあらためて確かめる。(撮影:永元秀和)

2025年春にラインナップを刷新したA110

画像: 2025年春にラインナップを刷新。「アニバーサリー」「GTS」「R70」という3モデル体制へと再編された。

2025年春にラインナップを刷新。「アニバーサリー」「GTS」「R70」という3モデル体制へと再編された。

アルピーヌA110は2025年春にラインナップを刷新した。「アニバーサリー」「GTS」「R70」という3モデル体制へと再編され、いずれも明確に異なるキャラクターを持っているのが特徴だ。

2025年、ブランド創業70周年を迎えたアルピーヌは、次世代モデルから完全電動化へ舵を切る。BEVスポーツのA290や次期A110の電動化はすでに予告されており、開発も進んでいる。つまり今回の3モデルは純内燃機関アルピーヌの集大成とも呼べる存在になるのだ。

そんな3モデルを一度に試す機会が訪れた。通常ならこれまでのモデルとの比較になるのだが、これがA110として「最後の内燃エンジン搭載車……」そう聞くと、試乗する方も思わず身構えてしまう。何より感慨深いものはあるが、まずは、その走りをじっくりと味わいたいと思う。

画像: 素のA110はまさにベストバランス。ワインディングロードを存分に走りを楽しめる。

素のA110はまさにベストバランス。ワインディングロードを存分に走りを楽しめる。

まず、最初に試乗した「アニバーサリー」は、ブランド70周年の節目を祝う特別仕様車だ。専用カラーやデカールをまとったその姿は、クラシックな美しさの中に現代的な要素が溶け込んだA110のスタイルの良さを際立たせる。3モデルの中で唯一アルピーヌシャシーを採用し、エンジン最高出力は252psだが、もっともバランスに優れたモデルで、その走りに不足は感じなかった。

A110ならではの軽快さは健在で、しなやかな乗り味は「日常に溶け込むアルピーヌ」として実に好ましい。もちろん、GTSやRと比べてしまえば絶対的なパフォーマンスは控えめだが、手の届く速度域でワインディングロードを味わう気持ちよさは格別だ。

1.8L直4ターボエンジンはアクセルペダルを踏み込むと一瞬ためらいを見せたのち、3500rpm付近から一気に吹け上がる。その時の吸気音はまるでキャブレター車のようで、近年の洗練されたスポーツカーでは味わえない素の感触が残っている。こうした演出もA110らしい愉しさの源と言える。

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