伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ SLRマクラーレンだ。

メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン(MERCEDES-BENZ SLR McLAREN:2004〜2009)

画像: SLRマクラーレンは確かにメルセデス・ベンツだが、フロントまわりはマクラーレンの影響が非常に大きいように見える。

SLRマクラーレンは確かにメルセデス・ベンツだが、フロントまわりはマクラーレンの影響が非常に大きいように見える。

メルセデス・ベンツは1999年のデトロイト モーターショーで、「ビジョンSLR」という、1950年代の名車300SLRをリスペクトしたスーパースポーツカーのコンセプトモデルを発表。その年のフランクフルト モーターショーでは、そのロードスターバージョンを発表した。いずれも近い将来の市販が決定していたが、日の目を見たのは4年後のことだった。

2003年のフランクフルト モーターショーでようやく発表されたスーパースポーツクーペの名は「SLRマクラーレン」。その名が示すとおり、当時F1グランプリでパートナーだったマクラーレンが開発に協力し、実際の生産もイギリスにあるマクラーレンの工場で行われた。

基本的なスタイリングはビジョンSLRと大きく変わっていないが、ドアの開閉方式やエアアウトレットなどが変更されている。CFRP製のモノコックタブを基本構造体とし、さらにリアフェンダーやルーフ部までCFRP製パネルで成形し、モノコックタブの前方にはアルミニウム製のサブフレームが接合され、そこにエンジンがマウントされる。さらにその前方にはCFRP製のクラッシュボックスが組み合わされていた。

画像: メルセデスAMGがSLR専用に開発したV8エンジンは、スーパーチャージドの3バルブSOHCだった。

メルセデスAMGがSLR専用に開発したV8エンジンは、スーパーチャージドの3バルブSOHCだった。

5.5L V8の3バルブSOHCエンジンはメルセデスAMGが専用開発したもので、スーパーチャージャーを装着し、最高出力は626ps、最大トルクは79.6kgmというパワースペック。組み合わされるトランスミッションは5速AT。0→100km/h加速は3.8秒と発表されていた。

ブレーキディスクはカーボンセラミック製で、電子制御のSBC(センソトロニックブレーキコントロール)を組み合わせ、車速120km/h以上で走行時に連動するエアブレーキもリアエンドに備える。

日本では2004年10月から発売され、当時の車両価格は5775万円。2007年には、ロードスターも追加された。エンジンを650ps/83.6kgmにパワーアップした「722エディション(722は1955年のミッレミリアで優勝したスターリング・モスがスタートした時刻の7時22分に由来)」、およびそのロードスター、さらに722をベースにしたワンメイクレース仕様の「722GT」、そして2009年には75台限定の「SLR スターリング・モス」と、バリエーションを増やした。

画像: ルーツにあたる300SLRは、いわゆるガルウイングドアだったが、SLRマクラーレンはディへドラル式ドアを採用した。

ルーツにあたる300SLRは、いわゆるガルウイングドアだったが、SLRマクラーレンはディへドラル式ドアを採用した。

メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン 主要諸元

●全長×全幅×全高:4656×1908×1261mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1768kg
●エンジン種類:90度V8 SOHC+S/C
●総排気量:5438cc
●最高出力:626ps/5000rpm
●最大トルク:79.6kgm/3250-5000rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・98L
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●タイヤサイズ:前245/40R18、後295/35R18

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