2025年、日本導入50周年を迎えたフォルクスワーゲン ゴルフ。Motor Magazine誌では、この記念すべき節目の年にゴルフ各モデルの実力を多角的に検証するマンスリーレポート企画をスタート。その第6弾は、ハッチバックの「eTSI Rライン」からヴァリアントの「TDI Rライン」へバトンタッチ。(Motor Magazine 2025年11月号を再構成 撮影:永元秀和)
力強さと燃費性能を両立するTDIユニット

活発に回るeTSIと異なり分厚いトルクでスルスル走るTDI。その性格は好みだが長距離が楽なのはこちら。
搭載されるのは2L直4ディーゼルターボエンジン。最高出力150ps、最大トルク360Nmを発生し、低回転域から分厚いトルクを生み出す。加えて静粛性も高く、ツインドージングシステムによってNOx排出を抑えたクリーンディーゼルとなっている。
アイドリング時に外で聞けばガラガラ音を多少感じるものの、車内にはほとんど入ってこない。アクセルペダルに対するレスポンスも鋭く、ガソリン車に近い感覚で扱えるが、1600〜2750rpmで発生する360Nmの厚いトルクによって、回転を上げずとも力強く加速できるのはディーゼルならでは。高速道路での追い越しや合流も余裕があり、少し踏み込むだけでグッと前に出る頼もしさは、ガソリンモデルにはないTDI特有の感覚だ。
前回取り上げたハッチバックのRライン同様、ヴァリアントのRラインもスポーツサスペンションとプログレッシブステアリングを専用装備。だが全長やホイールベースの延長、重量増の影響で、動きは全体的にややマイルドになった。言い換えればひと回り上のクラスに乗っているような落ち着きがあり、高速道路での安定感はさらに高まっている。とくにディーゼル特有の低速トルクと高速巡航での粘りが相まり、500kmを超えるドライブでも疲労感は少ない。まさに「長距離を走ってこそ真価を発揮する」ユニットだ。
ドライブ中は運転支援システム「トラベルアシスト」が頼もしい味方になってくれる。1日に500km前後移動することもあったが、車間や車線を維持してくれるおかげで快適に走り切ることができた。
