小さくとも豊か、これぞフレンチハッチの魅惑
ファミリーカーとしてもパーソナルカーとしても絶妙なパッケージであることを売りとして、Cセグメントは長らくクルマのど真ん中に居続けてきた。が、昨今は同じCセグメントをベースにはするものの、SUVやクロスオーバー的な車型が世の趨勢となり、オーソドックスなハッチバックはそれに押し込まれている感もある。
そんな状況の中で試行錯誤を重ねているのが旧PSAの銘柄だ。かつてはプジョーとシトロエンの2ブランドだったところにラグジュアリー系のブランドとしてDSを立て、一方でプジョーとシトロエンとのキャラクターを明確化して三権分立を図ろうという作戦に出たのは2015年前後のことだろうか。ちょうどDSオートモビルが独立し、プジョーがi-Cockpitを打ち出し、シトロエンがC4カクタスを世に問うた、そんな時期だと言われれば流れも見えてくるような気がする。

プジョー 308 GTハイブリッド。小径ハンドルを採用し、ドライバーメーターはハンドルの上から見下ろすように確認するというプジョー独自のコクピットレイアウト「i-Cockpit」は、新型でさらに進化。メーターの文字やデザインが3Dで表示され、速度など走行において重要な情報を手前に見せることができるようになった。美しいデザインの中に機能性を持たせるあたりは、実にプジョーらしい。
と、ちょうどその時期に登場した先代のプジョー308は、個人的には衝撃的なモデルだった。デビュー間もなく圧倒的なベンチマークぶりを見せつけていた7代目ゴルフに乗り心地で肉薄、ダイナミクスでは超えるかのようなパフォーマンスを見せたからだ。フォーカスやメガーヌなど、ゴルフの座を脅かさんばかりのキャラクターは時代ごとにいたものだが、7代目ゴルフにとって先代308は最後まで強敵であり続けた。あの時、プジョーはダイナミクスこそを自らの看板と位置づけていたのだと思う。
現行の308はその佳作だった先代308のアーキテクチャーを受け継ぎながら各部をリファインする、熟成的なモデルチェンジ策を採った。ゴルフが7代目から8代目へと進化したのと同じ、今日的なメソッドだ。EMP2プラットフォームは第三世代へとバトンタッチし、フロントピラーやサイドシル、リアストラット部、リアフロアなどを新規設計としてダイナミクスのさらなる改善とともに、電動化への親和性をより高めた設計となっている。

フランスの芸術的な伝統文様「クル・ド・パリ」が刻まれたクロームパーツが随所に配されている。水平に広がるダッシュボードデザインは曲面の美しいシンプルな形状ながらレザーやソフトパットを用いた高品質な仕上がりが特徴。フロントシートにはシートヒーター/ベンチレーション機能のほかマッサージ機能が備わっており、クラスを超えた快適性を実現する。
と、この第三世代EMP2を採用しているのがDSオートモビルのCセグメントハッチバックとなるDS4だ。コロナ禍の2021年に発表された2代目は、現行308と同じ2022年に日本へ導入された。現在のパワートレーンラインナップは1.5L直4ディーゼルターボと、1.6L直4ガソリンターボに駆動用モーターを組み合わせ、システム出力にして225psを発生するPHEVの2つとなる。



