JT150ジェミニ イルムシャー:ドイツの名門チューナーによる硬派仕様

FFジェミニになってスポーティバージョンのイルムシャーが登場。オペルなどのチューニングで有名な同社により、ハードな走りが可能になった。
先代のスタンダードなFR方式から、JT150ジェミニはFFとなった。トランスミッションはいわゆるトランスアクスル方式で、5速MTと3速ATとなる。特に5速MTでは、このクラス最大のシンクロ容量とし、1速ギア歯面にスラストニードルベアリングを追加することにより、低温時から高温時まですぐれた操作フィーリングを確保した。
エンジンルーム内にあるトランスミッションからシフトレバーを室内に導くため、リンク式に比べチェンジレバーへの振動伝達の少ないケーブル式を採用した。操作も軽く節度のあるシフトフィールとしている。ABCペダルの配置もオフセットのないレイアウトを実現、運転中の違和感を感じさせない自然なペダル配置となっている。
堅牢なボディに備え付けられたサスペンションはフロントがストラット式独立式となっている。ロアアームとショックアブソーバー一体型のストラットで構成されるこの方式は、小型乗用車のスタンダードとも言える構成。イルムシャーの場合、標準のFFジェミニと比較して、ワイドトレッド(標準:1395mm→イルムシャー:1410mm)、ネガティブキャンバー(標準:+20→イルムシャー+30)、キングピン角(標準11度50→イルムシャー12度10)とした。これにより、ロールしたときにタイヤができるだけ路面に対して垂直に近く保たれるジオメトリーとしている。

リアサスはコンパウンドクランク独立式を謳ったが、現代的に言えばツイストビーム式のリジッドサスペンション。半独立懸架とも言える形式だ。
リアサスペンションはコンパウンドクランク独立式を標榜しているが、いわゆるトーションビーム式で、半独立式というのが実際のところ。この辺はマーケティング戦略と捉えていいだろう。メリットは常に路面に対しキャンバー角を一定(垂直)に保つこと。ボティが傾いてサスペンションに影響がないとも言える。またトーションビームはスタビライザーの役目を果たし、安定したロール特性を確保。さらにタル形ミニブロックコイルスプリングを採用。小型でかつ十分なストロークを確保しすぐれた乗り心地と操縦安定性を示した。
ただしショックアブソーバーは前後とも標準車ではオイル式だったのがイルムシャーではガス封入式に変更し、それに合せて減衰力もスポーティな方向に最適化している。スタビライザー径はフロント20mm、リア18mmと変わらない。
実際の走行フィールは、当時のレベルとしてはかなり洗練されたものとなっていた。インタークーラーターボのパワーを上手く路面に伝えながら、ファントゥードライブを実現しているのはイルムシャーの手腕と言えるだろう。
JT150ジェミニイルムシャー シャシ 主要諸元
●ステアリング形式:ラック&ピニオン式
●サスペンション形式(前):ストラット式
●サスペンション形式(後):コンパウンドクランク式
●ブレーキ(前):ベンチレーテッドディスク式
●ブレーキ(後):LT式ドラム
●タイヤサイズ:185/60R14 82H
