フルタイム4WDシステム「xDrive」の威力を冬道で試す
冬季は凍結し、氷上を走行できる湖として知られる長野県の女神湖で、毎年「ニュルブルクリンクを走るための練習会」を主催している。路面ミューが低いニュルブルクリンクのノルドシュライフェは、雨が降ったら雪道レベルの滑りやすさになる。そこでは丁寧かつ慎重なドライビングが必須となるわけで、それを全面氷結した湖上で練習走行しようというものだ。
さて、東京から女神湖の往復に使うクルマの選択だ。速くて、運転が楽で、快適で、雪道でも安心なのは何かと探していたら「アルピナB7ビターボ アルラッド」という超高級リムジンが候補に挙がった。昨年の夏にドイツで試乗し、そのインプレッションをMotor Magazine誌でも紹介したが、フルタイム4WDのxDriveの威力を冬道でも試したいと思っていたからだ。インポーターのニコルにお願いして、スタッドレスタイヤ(ミシュランX-ICE XI2=245/50R18)に履き換えてもらい、3泊4日のボクの足にさせてもらった。

例年より積雪量は多く、ドライ、ウエット、圧雪、アイスバーンと路面状態は刻々と変わる。気温はマイナス18℃まで下がった。
東京から中央自動車道の諏訪ICまでは天気にも恵まれて順調なドライブ。はじめは重量とパワーがあるクルマだから、冬季のヨーロッパで標準となるウインタータイヤの方がいいかなとも思っていたが、アウトバーンのスピード域までは使わない日本の高速道路ではX-ICEのドライ路面のグリップ力が十分であることを確認した。直進状態での微小操舵での安定感もあるし、応答遅れも小さく素直な反応だ。ランプウエイでのコーナリングもしっかりグリップしている。
アクセルペダルの踏み込みに比例したトラクションを発揮
諏訪ICを降りてからは、ビーナスラインを北上するいつものルートだが、今年は例年にない積雪状態で、ところによっては圧雪がアイスバーンになっている箇所もあり、油断できない。しかしアルピナB7ビターボ アルラッドは何ごともなかったかのようにスイスイと走っていく。積雪が凍って路面は荒れているが、ハンドルが取られることもなく、乗り心地も快適そのものだ。白樺湖の手前の2つのヘアピンカーブも難なくこなし、安定感と安心感によりまったく疲れを知らずに女神湖に到着した。
女神湖周辺の道路は空いていたので、もう少し雪道ドライブを楽しむことにした。登り下りや交差点もあるが、登りの一時停止でもしっかり停止して安全確認、そのあとの発進はアクセルペダルを踏むだけで何の苦労もいらない。ちょっと調子に乗ってオーバースピードでコーナーに進入すると、さすがに2.2トンの車両重量だけあって慣性でアウト側に膨らんでしまうから、いくら発進が楽でも慢心してはいけない。

装着されていたタイヤはミシュランX-ICE XI2。ドライのレスポンスも良い。
そのヘビー級ボディのため、安全上2トン以上の走行制限がある女神湖の氷上では走ることができなかったが、練習会が無事終了してからもう少し雪道を走りたくなった。そこで車山高原スキー場を過ぎてビーナスラインを進むと八島湿原で行き止まりになる道を、昨年生徒のS氏から教わったのを思い出して行ってみた。交通量が少ない分だけ雪が深いが、アルラッドはアクセルペダルの踏み込みに比例したトラクションを発揮してくれ楽しく走れた。雪が深い登り坂で一旦停止し、そこからアクセル全開で加速してみたらシートバックに背中を押される発進力だった。
アクセルペダルを戻してハンドルを切ったとき前輪への駆動力を遮断することでタイヤの曲がるグリップ力を最大限に使えるxDriveだから、ターンインがスムーズだ。
また来年2013年も、2月7〜8日の日程で同様の練習会を女神湖で開催するが、どんなクルマで行こうかと今から楽しみにしている。(文:こもだきよし)
アルピナ B7 ビターボ アルラッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:5085×1900×1490mm
●ホイールベース:3070mm
●車両重量:2220kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●排気量:4394cc
●最高出力:520ps
●最大トルク:715Nm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:2045万円(2012年当時)




