ルノー グランカングーが人気だ。撮影車両と同じカラーの「クルール」150台は瞬く間に完売し、その後に追加された第2弾の特別カラーもすでに完売。実際に乗った人の話を聞けば、「いいんだよ」と口を揃える。だが、何がどういいのかをあえて聞くことはしなかった。その答えは自分自身で確かめたかったから。話題がひと段落したタイミングで、じっくりと長期間付き合ってみることにした。

人と荷物を載せてこそわかる「魔法の足」の真価

走り始めてすぐに気づいたのは、ボディの剛性感と足まわりの良さだった。

もともとカングーは、粘り強くしなやかなサスペンションに定評がある。その点はグランカングーでも健在で、ロングホイールベース化による安定感の向上やボディ補強の効果もあってか、むしろさらに魅力を増しているように感じられた。

正直なところグランカングーに試乗するまでは、車両重量が増加しているため1.3Lターボでは力不足に感じるのではないかと思っていた。しかし、この絶妙なパワー感がむしろ心地よい。必要に応じて回転を上げれば十分な加速を見せるし、普段の交通の流れのなかでパワー不足を感じる場面はなかった。今回の試乗では大人4名+子ども2名が最大乗車人数だったが、この条件なら不満はない。ただし、大人7名乗車や荷物満載の状態では、さすがに物足りないかもしれない。

画像: 標準カングーが17インチアルミホイールなのに対して、グランカングーは黒いスチールホイールに205/60R16のミシュラン製オールシーズンタイヤ、クロスクライメートを装着し、アウトドアユースにも応える。

標準カングーが17インチアルミホイールなのに対して、グランカングーは黒いスチールホイールに205/60R16のミシュラン製オールシーズンタイヤ、クロスクライメートを装着し、アウトドアユースにも応える。

それ以上に印象的だったのは、人や荷物を積んだときにこそ、このクルマの真価を発揮することだ。

乗員や積載量が増えるほど、足まわりのしなやかさが際立つ。電子制御ダンパーに頼ることなく、つるしのサスペンションだけでこの乗り味を実現しているのだから、大げさではなく「魔法の足」と呼びたくなる。これこそ、カングーファミリーならではの魅力である。

ホイールベースが延長されているにもかかわらず、ハンドリングに鈍さを感じない点も見逃せない。このサイズのクルマでありながら、コーナーで不安を覚えることはなく、ワインディングロードも意外なほど軽快に駆け抜ける。

もっとも、同乗する家族や友人のことを考えれば、そんな走り方をする必要はないだろう。ゆったりと景色を眺めながら走るようなシチュエーションが、このクルマにはよく似合う。

とくに高速道路を100〜120km/h巡航し続けるようなシーンで、その真価がさらに際立つ。どっしりとした安定感と穏やかな乗り味によって、ロングドライブは実に快適だ。追い越し加速ではエンジン回転数が上がり、それなりに賑やかになるものの、そもそもそんな走り方をしたい気持ちにさせないのも、グランカングーらしいところだろう。

走りの質感や、カングーならではの温かみのある個性は、国産ミニバンではなかなか味わえないものだ。

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