2012年3月、第2世代のBMW X3シリーズに、新世代の2L直4ツインパワーターボエンジン「N20B20A」を搭載したX3 xDrive20iが追加された。高効率を追求し、高い環境性能も併せ持ったこの直4は、X3シリーズをどう変えたのか。Motor Magazine編集部では上陸場間もなく試乗テストを行っているので、今回はその模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年6月号より)

次世代のBMWの主力エンジンと期待される2L直4ターボ「N20B20系」

気がつけば「シルキーシックス」と賞賛されたBMWの自然吸気直6エンジンはラインナップの中では少数派となり、現在ではE91の3シリーズツーリングとE92の3シリーズクーペのそれぞれ「325i」とF25のX3の「328i」しか選べなくなっている。

BMWは直6エンジンをやめはしないが、これからは過給付きの直6ツインパワーターボが主流となっていく。直6NAのまさに滑らかに回る「フィール」が好きだった私としてはとても残念ではある。

ではこれからのBMWの主力エンジンはどれなのか。そのひとつが今回試乗したX3 xDrive20iに搭載された「N20B20A」と、新型320iなどに搭載される「N20B20B」のいわゆる「N20B20系」である。このN20B20系エンジンは、同じ2L直4ツインパワーターボでありながら、搭載モデルの特性に合わせて圧縮比が11.0と10.0に変えられている。

具体的に言えば、より燃費指向の新型320iと523iに搭載されるのは、N20B20Bの184ps版で圧縮比は11.0である。しかし、同じく最高出力184psを発揮するN20B20Aを搭載したX3 xDrive20iやX1 xDrive20iの圧縮比は10.0となる。つまり、同じ最高出力184ps/最大トルク270Nmの2L直4ツインパワーターボエンジンであっても、圧縮比やエンジンマネージメント、タービンなどが変更されているのである。

この新世代BMWの主力エンジンとなる2L直4ツインパワーターボエンジンを搭載したX3は、エントリーモデルという位置づけでX3 xDrive28iより57万円安い541万円という価格を付けられたが、どのような実力の持ち主なのか。さらに言えばX3に直4エンジンが搭載されたのは初めてである。SAVと「N20B20A」エンジンの相性も気になるところだ。

画像: 最高出力184ps/最大トルク270Nmを発揮する2L直4ツインパワーターボのN20B20Aエンジンを搭載、8速ATを組み合わせる。

最高出力184ps/最大トルク270Nmを発揮する2L直4ツインパワーターボのN20B20Aエンジンを搭載、8速ATを組み合わせる。

わずか1250rpmから最大トルク270Nmを発生

今回の試乗車は、オプションのMスポーツパッケージ装着車(xDrive20iは39万8000円)で、ボディカラーもMスポーツ専用のカーボンブラックである。装着ホイールはxDrive20i Mスポーツ専用の「スポークスタイリング368M」ではなく、オプションの「ダブルスポークスタイリング369M」を装着、タイヤサイズもフロントが245/45R19、リアが275/40R19となる。また電動パノラマガラスサンルーフ装着車のため車両重量は、プラス30kgの1960kg。前軸重930kg、後軸重930kgと前後重量配分50:50を実現している。

X3のドライバーズシートに収まるといつものBMWらしいメーターやインパネが視界に入ってくる。各部の調整スイッチ、iDrive関連のコントローラーなど、BMWに共通する部分が多くとても使いやすい。

さっそくスタート、走り出しはとてもスムーズ、そして想像以上にボディの重さを感じさせない俊敏さを発揮する。同じエンジンを搭載するX1 xDrive20iと比べると180kgも車両重量が重いので走りがどうかという先入観は、ほんの数百mでなくなり、軽快なフットワークを存分に味わうことができた。

これはN20B20Aエンジンがわずか1250rpmから270Nmという最大トルクを発生することが大きい。さらに直6とはまたひと味違ったエンジンサウンドとともに、8速ATがスパンスパンと変速していく感覚はとても気持ちいい。

オプションの19インチタイヤ&ホイール(標準は17インチ)を装着していたが、乗り心地にゴツゴツした感じはない。安定したその走り味は、重心の高さを忘れてしまうほどセダンライクである。これならエクストラコストを払ってMスポーツパッケージを装着する価値はあるだろう。なんといっても、見ているだけでうっとりするくらいスタイルがカッコ良くなるからだ。やっぱりクルマも見た目が大切だな、とつくづく感じる。

ちなみに今回の試乗では、約1週間で500km以上走ったがその間の燃費は一般道で約9km/L、高速道路では11km /L以上を記録している。

X3 xDrive20iは、ラインナップのなかのエントリーモデルという位置付けではあるが、xDrive35i同様にHDDナビやトップビュー付きリアビューカメラ、コンフォートアクセス、バイキセノンヘッドライト、アダプティブヘッドライト、エンジンオートスタート/ストップ機構などが標準装備されているのも魅力である。

BMW車の中で右ハンドル+xDriveの組み合わせ持つXシリーズは、新世代の2L直4ツインパワーターボエンジンを得て、環境性能も向上し、その商品力が大幅にアップした。これが売れない理由が見つからない。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充)

画像: 各部の調整スイッチ、iDrive関連のコントローラーは最新BMW共通のデザイン。マルチファンクションMレザーステアリングホイールを装着する。

各部の調整スイッチ、iDrive関連のコントローラーは最新BMW共通のデザイン。マルチファンクションMレザーステアリングホイールを装着する。

BMW X3 xDrive20i 主要諸元

●全長×全幅×全高:4650×1880×1675mm
●ホイールベース:2810mm 
●車両重量:1830kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:135kW(184ps)/5000rpm 
●最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1250-4500rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:8速AT
●車両価格(税込):541万円(2012年当時)

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