「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、マセラティ グラントゥーリズモに2012年に追加された、スポーツ MCシフトだ。

シルキーかつ滑らかな、直進時の味わいに感動!

だが、今回いちばん感動したのは、直進時の味わいだった。直進安定性もさることながら、その時に伝わってくる感触はシルキーで、しかも滑らか。それはツルツルしているところを滑っていくような感じではなくて、グリップ感はきちんとドライバーにインフォメーションされつつも、フラットかつ引っ掛かりがどこにもないものだった。

これは連続ダンピング コントロール システムの最新バージョン「スポーツ スカイフック システム」の賜物と思われるが、スポーツモデルにしてこの滑らかさは、他ではなかなか味わえないマセラティならではの感触といえるだろう。

画像: リアスポイラーもカーボンファイバー製。官能的なV8サウンドを奏でながら加速していく光景は、このクルマならでは。

リアスポイラーもカーボンファイバー製。官能的なV8サウンドを奏でながら加速していく光景は、このクルマならでは。

そして他では味わえないと言えば、やはりこのサウンド! 同じV8でも、以前に紹介したジャガー XKRは硬派なサウンドだった。これに対し、カーンという底抜けに官能的な音色はイタリアンならではで、思わずウットリしてしまう。そして、この音色が身体を包み込んでくれるように響く。トンネルを通れば体感的な響きっぷりも味わえる。良い音ではあるが80km/hでエンジン回転数は2000rpmを超えてくるので、できればトランスミッションは6速ではなく8速くらいあったほうが、サウンドの面でも燃費の面でも普段使いしやすくなるだろう。

とはいえ、誰が見てもカッコいいと思える、ちょっと悪そうなスタイリングに、スパルタン過ぎないインテリア。リアシートもトランクも実用性が高く、サイズの割りには取り回しも苦にならない。そんなマセラティ グラントゥーリズモは、イタリアの伊達を存分に味わわせてくれた。

画像: シンメトリーが美しい4.7Lの90度V8 DOHC。そのサウンドは快感! トランスミッションはシングルクラッチの2ペダルAMT。

シンメトリーが美しい4.7Lの90度V8 DOHC。そのサウンドは快感! トランスミッションはシングルクラッチの2ペダルAMT。

マセラティ グラントゥーリズモ スポーツ MCシフト 主要諸元

●全長×全幅×全高:4885×1915×1355mm
●ホイールベース:2940mm
●車両重量:1920kg
●エンジン:90度V8 DOHC
●総排気量:4691cc
●最高出力:338kW(460ps)/7000rpm
●最大トルク:520Nm(53.0kgm)/4750rpm
●トランスミッション:6速AMT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・86L
●EU総合燃費:6.5km/L
●タイヤサイズ:前245/35ZR20、後285/35ZR20
●当時の車両価格(税込):1800万円

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