2012年5月、アウディにとって初となるコンパクトSUV「初代Q3」が日本に上陸した。アウディQ3は、サイズの小さなQ5でも、高級なティグアンでもない、既存モデルにはない新しい提案で市場から歓迎されることになるが、果たして上陸当時の評価はどうだったのか。ここでは上陸間もなく行われた試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年7月号より)

今のSUVに求められている、アーバンスタイルの洗練された姿

まずは、しなやかなライドコンフォート。サスペンションは動き出しから渋さ、硬さとも皆無で、あらゆる入力を、まるで極上のオイルに浸かっているかのような至極滑らかなストローク感でいなしてくれる。想像していた、硬めでパツパツとした乗り心地ではなく、望外の上質感を醸しているのだ。先日フェイスリフトが行われたA4でも顕著だが、ここに来てアウディ、乗り心地に対する考え方がハッキリと変化したようである。

ステアリングフィールも心地良い。ここはアウディの常で操舵力自体は最初戸惑うぐらい軽いのだが、掌へのフィードバックはしっかりとしていて、レスポンスもナチュラル。手首の返しだけでスイスイ曲げていける軽快な感覚を演出している。初期応答性だけでなく、舵角が大きくなってもノーズの入りは変わらず軽快。一方でリアはしかと落ち着いていて、安心してペースを保つことができる。

211psの最高出力を誇るのみならず、300Nmのトルクを1800〜4900rpmという広範囲で発生するエンジン特性と、高張力鋼板を多用し、ボンネットやリアゲートをアルミ製とするなど軽量化を推し進めたことで、1610kgと、ほぼ同じエンジンを積むQ5 2.0 TFSI クワトロに対して250kg以上も軽い車重を実現したことと相まって、低速域の力強さも、その後の加速も文句なしに力強い。アクセルを全開にしなければならないような場面にはほとんど遭遇することはなく、おそらくはこの余裕が燃費にもプラスに働いているに違いない。 

よって211ps版にオプション設定されるアウディドライブセレクト(ADS)を装着した場合、エアコンの設定が変わるので「少なくとも今の季節は」と限定しておくが、普段は効率モード固定でいいかと感じたほどだ。

画像: エンジンはSUVとして十分なトルク性能を実現すべく2.0TFSIを搭載。211ps仕様と170ps仕様の2種類が用意されるが、低回転域から大きなトルクを発揮。それにあわせてトランスミッションは大トルク対応型湿式7速Sトロニックとしている。もちろん、スタートストップシステム、エネルギーリカバリーシステム(ブレーキ回生機能)も備える。

エンジンはSUVとして十分なトルク性能を実現すべく2.0TFSIを搭載。211ps仕様と170ps仕様の2種類が用意されるが、低回転域から大きなトルクを発揮。それにあわせてトランスミッションは大トルク対応型湿式7速Sトロニックとしている。もちろん、スタートストップシステム、エネルギーリカバリーシステム(ブレーキ回生機能)も備える。

そのADSをノーマルからダイナミックへと切り換えると、アクセルレスポンスが鋭くなり、ステアリングの操舵力、保舵力が重みを増し、サスペンションも引き締められる。コーナーに同じように進入すると、ロールやピッチングは明らかに小さく安定感が高まるのを実感できるが、狭いワインディングロードでは軽快感が薄まる印象も受けた。言い換えれば、ノーマルの方がひらりひらりと、足取り軽やかだということである。

いかにもSUVらしい逞しさ漲るSUVが欲しい人にとっては、肩透かしかもしれない。しかしながら、今のSUVに求められているものを要約すれば、こうなるだろう。すなわちスタイリッシュで、乗って使い勝手が良く、そしていざという時には頼れるパフォーマンスが備わっているということ。Q3はまさにそこを真正面から突いている。とくに個人的には、大きく寝かされたリアゲートには、アバントでワゴンを変革したアウディならではのセンスが象徴されていると感じた。

ともあれ、サイズの小さなQ5でも、あるいは高級なティグアンでもない、アーバンSUVの洗練された姿が、そこにはある。211ps版については、価格はやや高めかなという気はしないでもない。しかしながらBMW X1やレンジローバー イヴォークなど強豪がひしめくこの市場で、いかにもアウディらしいセンスとテクノロジーでまとめられたQ3は、間違いなく強い存在感を放つことになるはずだと確信した。(文:島下泰久)

アウディ Q3 2.0 TFSI クワトロ 211PS 主要諸元

●全長×全幅×全高:4385×1830×1615mm
●ホイールベース:2605mm
●車両重量:1610kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1984cc 
●最高出力:155kW(211ps)/5000-6200pm 
●最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1800-4900rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:4WD
●車両価格(税込):479万円(2012年当時)

This article is a sponsored article by
''.