昭和を駆け抜けた和製スポーツモデルたち。その勇姿を、モーターマガジン社の70年以上にわたる取材記録や当時の写真を基に紹介しよう。今回は、S600の後継として1966年に登場した、ホンダ S800とその進化版のS800Mだ。

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ホンダ S800/S800M<AS800E型/1966年(昭和41年)>

昭和38(1963)年10月に市販が開始されたS500から、昭和39年3月にS600へと進化したホンダのミニスポーツは大きな反響を呼び、昭和39年7月には国際自動車エレガンス コンクールで入賞を果たすおまけもついた。また昭和39年11月(国内は40年2月)にはクーペを追加、こちらはヨーロッパでも人気を得た。さらにデラックス装備のMタイプも加わりS600は4種のバリエーションで順調な生産、販売が続いた。

しかし、より大きなパワーを求める声も強く、昭和40(1965)年秋の第12回東京モーターショーには排気量791ccのS800とS800クーペが出品された。このときの会場にはS600の姿はなく、やがてS800のみのラインナップとなることを予見させた。

S800のエンジンも直4 DOHC。ローラー メインベアリング付きで、S600のボアを54.5mmから60.0mmへ、ストロークを65.0mmから70.0mmに延長したもの。ケイヒンのCV気化器を各気筒ごとに取り付け、圧縮比9.2で(S600:9.5)、最高出力は70ps/8000rpm、最大トルクは6.7kgm/6000rpmを発生した。いずれも発生回転数はS600より500rpmずつ低下している。車両重量は710kgと相変わらず軽量で、馬力当り重量は10.1kg/psを示し、0→400m加速は16.9秒、最高速160km/hと、ついに本物のスポーツカーの性能水準に到達した。

画像: 791ccにスケールアップしたAS800Eエンジン。S600と比べ13psと1.5kgmパワーアップし、乗りやすい特性となった。

791ccにスケールアップしたAS800Eエンジン。S600と比べ13psと1.5kgmパワーアップし、乗りやすい特性となった。

しかしS800の輸出仕様では、駆動系が大幅に変更された。世界でも類のないチェーンドライブをやめ、5リンク/コイルのリジッドアクスルを採用した。これは、チェーンドライブがその特殊性ゆえに欧米諸国であまり歓迎されなかったためで、メリットのひとつであった広いトランクスペースを多少犠牲にしても、リジッド化は販売面でメリットがあるとの判断からだった。

その構造はコイル&ダンパーユニットで吊られたリアアクスルハウジングの左右に、上下2本のラジアスアームをセットし、これで前後方向の位置を決め、ラテラルロッドで左右方向を規制するという標準的なものだが、これにより発進時に反トルクでリアが持ち上がる独特な挙動は解消された。

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