内容の濃いグレードアップで魅力倍増
ルノーは独自のデザイン戦略として、チーフデザイナーのローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏による、人生を一輪の花として考えるコンセプト、「サイクル・オブ・ライフ」を提唱している。これは、人の一生をラブ(愛)/エクスプロア(冒険)/ファミリー(家族)/ワーク(仕事)/プレイ(遊び)/ウイズダム(英知)という6つの要素に分けて捉えるもので、その輪(サイクル)によって人生が構成されるという理念だ。
そしてそのサイクルにおける、ラブ(愛)の要素を強く備えて「恋から始まる、美しき人生」のためのファーストパートナー、という存在意義が与えられているのが、この現行型ルーテシアである。
さて、そうした魅力的なルックスを持ち味とするルーテシアが2月25日に仕様変更を受けた。対象は1.2L直列4気筒ターボエンジンと6速DCTを組み合わせた「ゼン1.2」と「インテンス」の2モデルだ。仕様変更の目玉はパワートレーンで1.2L直列4気筒ターボエンジンの最大トルクが、それまでの190Nm(19.4kgm)/2000rpmから205Nm(20.9kgm)/2000rpmに増強され、最高出力は120ps/4900rpmから118ps/5000rpmとなった。
6速DCTの変速比も見直されると同時に、未装備だったエンジンのストップ&スタート機能も搭載。これらによって燃費性能は約2割ほど向上したとのことで、JC08モード燃費は17.4km/Lと発表された。なお、ルノー・ジャポンの導入モデルでJC08モード燃費が発表されたことも注目点であろう。
装備面では、インテンスのハンドルがGTと同じ、よりスポーティなデザインのものが採用されるとともに、シートのツートーンカラーデザインも新しいものとなった。さらに、センターコンソールパネルの表示機能に経済的な運転をサポートしてくれる「ドライビングEco2」なども追加されている(この機能追加は「ゼン(1.2)」も同様)。ただし、オプションのナビゲーションシステムを装備した時には、この機能はキャンセルとなる。
試乗したのは、オプション設定の「ルージュフラムメタリック」という鮮烈なレッドボディのインテンス。なおインテンスは、ボディカラーに合わせて標準装備の「DRENALIC」アロイホイールの色味も設定されるのだが、この組み合わせではホイールにルージュ(赤)のアクセントが入れられる。メインカットの走行シーンを見てもらえば、その華やかな雰囲気が少しはおわかりいただけるかと思う。
短時間ではあったが、都市高速と一般道を走った印象としては、パワートレーンの仕様変更による大きな変化は正直に言って感じられなかった。6速DCTは相変わらずスーズで、ただしショックの小さい変速を重視している印象ゆえにキビキビした感じは薄い。発進時などに踏み込むアクセルペダルの量は、低回転域でのトルクが増したこととギア比の変更による効果か、以前よりも少ない開度で希望する車速に乗せられるというイメージを持てた。
さらに、信号待ちの時などにアイドリングストップが働いてくれることも、最近のモデルらしいインフォメーションだといえるだろう。もちろん、本質的な乗り味の好ましさは従来からの変わらない魅力である。(文:香高和仁/写真:小平寛)
●主要諸元<ルーテシア インテンス>
全長×全幅×全高=4095×1750×1445mm
ホイールベース=2600mm
車両重量= 1220kg
エンジン=直4DOHCターボ 1197cc
最高出力=87kW(118ps)/5000rpm
最大トルク=205Nm(20.9kgm)/2000rpm
トランスミッション=6速DCT
駆動方式=FF
JC08モード燃費=17.4km/L
タイヤサイズ=205/45R17
車両価格=2,399,000円
※取材車両のボディカラーはルージュフラムメタリック(オプション/32,400円)。タイヤはミシュラン製プライマシー3、205/45R17サイズを装着。