今が一番美味しい時期
XC60にも「クラシック」が登場か。ということは、いよいよこれがXC60の最終モデルというわけだ。ボルボ車のワールドワイドでのセールスボリュームを見ると、いまだにトップを走り続けているXC60 。デビューからかなりの時が経過しているにもかかわらず、この人気ぶりにはいつもながら感心せざるをえない。
2008年に世界デビューを果たしたボルボのミドルサイズSUV「XC60」。日本への導入は09年だが、完全停止する自動ブレーキとして日本初となる「シティセーフティ」を全グレードに標準装備したことが大きな話題となった。
実はこのXC60。世界デビューの翌年から今日に至るまで、前述したようにボルボモデル別ワールドセールスランキングでトップを守り続けている。もちろん、現在もである。そろそろ次期型が噂されるような熟成期になっても売れ続けるクルマはそうそうあるものではない。一般的には販売台数が落ち込んでくるから新型に切り替えるものなのに……。
よくよく考えてみればXC60が売れ続けているのもわかる。というか当然だろう。デビュー自体はずいぶん前となるが、11年モデルでヒューマンセーフティの採用、13年にヒューマンセーフティにサイクリスト検知機能を追加、さらに同じ年にフェイスリフトもされ、さらにその翌年の14年にはDrive-Eパワートレーンも積まれ、全方位的な安全装備・運転支援システムとなるインテリセーフを全グレードに標準装備とし、そして15年にはクリーンディーゼル「D4」パワートレーンも導入している。
つまり販売台数トップの裏(いや表!)には常にたゆまない努力がなされているということである。
そのXC60に「クラシック」が設定されたが、このグレードはボルボファンには馴染みの深いものだ。そう、そろそろ最終モデルであるということを表している。現在のラインナップの中では、V70とXC70にクラシックが設定されているが、それがXC60にも設定されたのである。
またボルボファンの中には「クラシック」を待っている人も多いと聞く。つまりあえて選ぶグレードというわけだ。それはバリューある装備が多く装着された充実した内容であることもさることながら、熟成が極まったモデルが一番いいと感じている人が多いということにほかならない。
たとえばこの17年モデルのクラシックでは、「チルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフ」、「本革シート」、「12セグ地上デジタルTV」、「フロントシートヒーター」、「モダンウッドパネル」を標準装備している。さらにD4クラシックは「18インチアルミホイールTucan」を、T5 AWD クラシックは「19インチアルミホイールLesath」が装着されている。
ちなみに15年モデルでこれらのオプションを付けるとなるとレザーパッケージ(36万円)、モダンウッドパネル(4万7000円)、チルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフ(20万6000円)、19インチアルミホイール(10万円)となりオプション合計金額は71万3000円になる。
従来型のT5 AWD SEの車両価格は599万円なのでオプションを含んだ合計額は670万3000円だ。しかし「クラシック」ならばそれらがすべて含まれて629万円である。その差はなんと41万3000円。つまり価格だけを比べてもメリツトが大きいというわけである。
では走りはどうか。XC60の力強く、そして軽快な走りは健在だ。なんといってもボルボのフラッグシップ「XC90」にも積まれている2L直4ターボと同じエンジンなのだから、それだけでもパフォーマンスは想像できるというもの。勾配のきつい上りも楽々と走り、街中では右足を深く踏み込む場面などまったくない。さらにトランスミッションも6速ATから8速ATに進化した。新しいパワートレーンとAWDが組み合わされたのだから不満が出るわけがない。
特筆すべきは、センサスの使い勝手の良さである。ボイスコントロール機能は認識力も高く、ナビや各種メディアなどはまるでクルマと会話しているように操作できるのである。さらにACC(アダプティブクルーズコントロール)は使いやすく安心感もあり、これほど長距離が苦にならないクルマは貴重だと言えるだろう。(文:千葉知充/写真:原田淳)
●主要諸元〈XC60 T5 AWD クラシック〉
全長×全幅×全高=4645×1890×1715mm
ホイールベース=2775mm
車両重量=1860kg
エンジン=直4DOHCターボ 1968cc
最高出力=180kW(245ps)/5500rpm
最大トルク=350Nm(35.7kgm)/1500-4800rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=4WD
JC08モード燃費=12.3km/L
タイヤサイズ=235/55R19
車両価格=6,290,000円