ボルボXC90のラインナップの頂点に加わった“エクセレンス”は、通常のXC90が持つ3列シートを2列として、まるで旅客機のビジネスクラスのような快適かつ贅沢な空間のリアシートを備えるのが特徴だ。
画像: 【試乗】ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD エクセレンスは、まるでビジネスクラスのようだ

リアシートは特別な空間

ボルボの最上級SUVとなる3列シート7シーターの「XC90」が日本デビューを果たしたのは今年2月だ。ラインナップは「T5 AWD モメンタム」、「T6 AWD Rデザイン」、「T6 AWD インスクリプション」、「T8 ツインエンジン AWD インスクリプション」だが、8月にトップモデルとなる「T8 ツインエンジン AWD エクセレンス(以下エクセレンス)」が加わった。では、エクセレンスとはいったいどういったクルマなのか。

このモデルはボルボ初の4シーターSUVで、XC90の3列シートを2列とし、ショーファーカーとしての利用も想定してリアシートを高級感あふれる快適な空間としてパッケージングしているのである。

たとえば、リアシートはフロントシートと同様の機能を持つ左右独立したシートとなり、そこには、8ウェイパワーシート、電動バックレスト、サイドサポート、電動ランバーサポート(4ウェイ)、電動クッションエクステンション、シートヒーター、ベンチレーション機能、マッサージ機能、フットレストなどが装備される。これほど多彩な機能を持つリアシートはなかなかない。またラゲッジルームとの間には、透明なパーテーションボードが装備され、リア部分から侵入する騒音などを遮断するような工夫もなされている。

さらに2席それぞれには折りたたみ式のテーブル、保温/保冷機能を持つカップ・ボトルホルダー、スウェーデンを代表するクリスタルブランド、オレフォス社によるハンドメイドクリスタルグラス、そしてクーリングボックスなども用意されてる。ちなみに、XC90 T8グレードに採用されている、あの美しいATセレクターもこのオレフォス社製のクリスタルである。

「さて、どこに行こう」と考えた時にまっさきに思い浮かんだのが「ハラ ミュージアム アーク(群馬県渋川市)」である。ここでボルボデーが開催されていたのだ。まるでビジネスクラスのような4シーターに乗ってアート作品を見に行く。こんな贅沢はないだろう。ただし、私の役割は主に運転手であるが……。

ところでボルボデーとは、全国の特色ある美術館・博物館をより多くの人に知ってもらい、アートに親しむ機会を増やすことを目的としたイベントで、第2回目が「ハラ ミュージアム アーク」で10月1日に開催され、当日は通常の入場料1100円(一般)のところを、すべての来館者が無料になるというものだ。

さっそく出発。東京・新橋-.群馬県・渋川間の往復は約300km。エクセレンスの実力を試すにはちょうどいい距離だろう。走り始めてまず感じたのは室内がとても静かであるということ。長期テスト車として使っている7シーターのXC90もとても静かなのだが、それの上をいく静粛性が保たれているのである。

パワートレーンは高評価を得ているXC90 T8と同じ2L直4ターボ+スーパーチャージャーの“Drive-E”エンジンにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドである。その走りは2300kgを超える車重を微塵も感じさせない。軽快ささえも味わわせてくれる。

画像: エントランスにあるハート型のアートは、ジャン=ミシェル オトニエル「Kokoro」2009年。

エントランスにあるハート型のアートは、ジャン=ミシェル オトニエル「Kokoro」2009年。

ハラ ミュージアム アークの駐車場では積極的にリアシートにも座ってみた。標準で装備されるBowers&Wilkins のサウンドシステムをコントロールしながらリクライニング機能を持つゆったりとしたシートに身をゆだねる。なんとも至福のひとときだ。帰りの運転さえなければクーリングボックスから冷えた専用のクリスタルグラスを出してシャンパンでも飲みたい気分である。

このエクセレンス、ロングドライブから帰ってきたときの疲労の少なさは特筆すべきだろう。それをもたらしてくれるのは高い静粛性が保たれた室内と余裕あるパワー、そして快適なシートのお陰である。リアシートに座っているだけではもったいない。ぜひとも積極的にハンドルを握って運転したいクルマである。(文:千葉知充/写真:永元秀和/撮影協力:ハラミュージアムアーク)

画像: 実に贅沢な仕様でこれならば、VIPのショーファーカーとして、大いに活躍できることは間違いない。

実に贅沢な仕様でこれならば、VIPのショーファーカーとして、大いに活躍できることは間違いない。

●主要諸元〈XC90 T8 ツインエンジン AWD エクセレンス〉
全長×全幅×全高=4950×1960×1760mm 
ホイールベース=2985mm 
車両重量=2340kg 
エンジン=直4DOHCターボ+スーパーチャージャー 1968cc 
最高出力=235kW(320ps)/5700rpm 
最大トルク=400Nm(40.8kgm)/2200-5400rpm 
モーター最高出力=前34kW/2500rpm、後65kW/7000rpm 
モーター最大トルク=前160Nm/0-2500、後240Nm/0-3000rpm 
駆動用バッテリー種類/容量=リチウムイオン/9.36kWh 
トランスミッション=8速AT 
駆動方式=4WD 
JC08モードハイブリッド燃費消費率=15.3km/L 
タイヤサイズ=275/40R21 
車両価格=12,990,000円

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